歌舞伎町ホストクラブは店名非公表、鹿児島ショーパブは公表、コロナ感染でなぜ自治体の対応は違うのか

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SNSでも疑問の声

 読売新聞・西部版が7月6日の朝刊に掲載した「新型コロナ 福岡のスナック クラスター発生」には興味深い記述がある。主要部分を引用させていただく。

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《鹿児島県では13人の感染が判明。いずれもクラスター(感染集団)が発生した鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」絡みで、11人が客、残りの2人が客の濃厚接触者などだった。同市などによると、同店に関わる感染者は80人を超えており、厚生労働省のクラスター対策班が今後、感染経路などを調査する》

《福岡市では6人の感染が判明し、このうち男女4人(20~50歳代)は福岡市中央区の会員制スナックの利用者だった。この店ではこれまでに客ら3人が感染しており、市はクラスターが発生したと認定した。また、別の20歳代女性は「NEWおだまLee男爵」の客の濃厚接触者の友人という》(註:全角数字を半角数字に改めるなど、デイリー新潮の表記法に従った。以下同)

 2軒の店が記事に登場する。1軒が鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」で、もう1軒が福岡市の《会員制スナック》だ。

 一方は店名が公開され、他方は匿名となっている。「NEWおだまLee男爵」の店名を報道したのは読売新聞だけでない。朝日新聞や産経新聞、共同通信、九州のブロック紙である西日本新聞、もちろん地元紙の南日本新聞も明記した。

 一体、この差はどこにあるのだろうか。どうも地方自治体によって、公表内容が違うようなのだ。次にご覧いただきたいのは時事通信が7月7日に配信した「東京で新たに106人感染 6日連続3桁―新型コロナ」の記事だ。

《都によると、106人中、23人は接待を伴う飲食店などの「夜の街」関連で、34人は感染経路が全く分かっていない。年代別では20代(43人)と30代(27人)で7割近くを占めている。累計感染者数は6973人》

 この記事はYAHOO!ニュースにも転載され、7月10日現在、5236件のコメントが投稿されている。最も共感を呼んだものをご紹介しよう。

《これだけ感染をさせまくっているのに、なぜ店名公表と営業停止を行わないのでしょうか? ホスト・キャバにそこまで気を使う必要があるのでしょうか? まったく意味不明です》(註:改行を省略するなどした。以下同)

 東京都内では「夜の街クラスター」が猛威を振るっている。その結果、少なくともSNS上では「ホストクラブやキャバクラの店名を公開すべきだ」という意見が圧倒的に多い。

 公開を求める投稿する際、「NEWおだまLee男爵」の店名を使ったツイートもあった。時系列でご説明しよう。

 発端はNHKの報道だった。同社のニュースサイトNHK NEWS WEBは7月7日、「東京 秋葉原 メイドカフェの従業員 感染確認12人に 新型コロナ」との記事を配信した。

《従業員の感染が明らかになったのは、東京・千代田区にあるメイドカフェ、「@ほぉ~むカフェ」の「秋葉原本店」と「秋葉原ドンキ店」です》

 記事では店名が明記されている。NHKが独自取材に基づいて報じたことも大きい。だが、SNS上ではホストクラブやキャバクラの“対比”から、異論の投稿が少なくなかった。

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