日本でワインが飲まれていない理由とは…敷居高いから? 今飲むべきは?

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暑い時期には涼しい産地のものを

 他にも失敗を減らすいくつかのコツがあるのですが、まずは飲んでみることが大事なのでそれらは後回しにして、何を飲むべきかの話にいきましょう。何かと鬱陶しいこの季節に飲むなら、セオリー通りに言えば爽やかなワインですが、これこそ何でもいいですよ。無責任に思われるかもしれませんがそんなもんです。だって人によって赤ワインしか飲まないとか、白ワインしか飲めないってこともあるんですよね。アルコールが摂取できるなら理論上、赤も白もオレンジもスパークリングも大丈夫なはずなんですが、とにかくいろんな人がいる。

 一般的にこの蒸し暑い季節に向いたワインを取り上げてみましょう。やはりスッキリ爽やかに飲める白ワインやシャンパーニュなどのスパークリングワインでしょうね。こってりした濃厚な白ワインや重くまったりした赤ワインよりは、そういうワインの方が鬱陶しいこの季節には向いているとは思います。でもセオリーなんて無視でもいい。実際、個人の嗜好はセオリーに勝るものですし、好きなもの、飲みたいものをまずは飲む。飲んでいるうちに次第に味覚が研ぎ澄まされていくし経験とともに ワインの季節感というものが身に着いていきますから。

 いわゆるオススメを鵜呑みにする必要はないのです。予算も人それぞれだと思いますし、こちらとしても一般論を強制するつもりはない。だって強制されてお酒を飲んだってつまらないし美味しくないでしょ。なので敢えてザックリ言うなら、暑い時期には気候が涼しい産地のワインがいいと思います。暖かい産地で造られるワインは、白でも赤でも豊潤で濃密な味わいになりがちでキレが少なくなります。今の時期なら冷涼な気候ならではの清涼感溢れるワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。酒屋の店員さんやネットのワインショップにそう相談してみるといいと思います。まともなお店なら、涼しい産地という言葉からふさわしいワインをきっと選び出してくれますよ。

幅紀長(はば・としなが)
東京・銀座のワインバー・オーナー。「自分の人生は世界中のワインを理解できるほど長くはない」という真実に気付き、フランスワインに溺れた生活が長らく続いておりますが、フランスワイン好きにもそうでない方にも、そもそもワインはそれほどでも……という方にも、少しでも楽しみや興味を持っていただけたら」

週刊新潮WEB取材班編集

2020年7月11日掲載

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