なぜ今?発売から42年「たべっ子どうぶつ」が次々グッズ化 ギンビスに聞く“狙い”

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 英単語が印字された、動物の形をした薄焼きのビスケット。誰もが一度は「たべっ子どうぶつ」を口にしたことがあるのではないだろうか。誕生は1978年というロングセラーの商品だが、最近になり「グッズ化」でにわかに注目されているという。なぜ今このタイミングでグッズ化に至ったのか。製造・販売する株式会社ギンビス(東京都中央区)に聞いた。

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 昨年から「たべっ子どうぶつ」のグッズ化は加速している。まず2019年10月、パッケージに登場するおなじみの動物たちがフィギュアとなった「カプセルトイ」が登場。ライオン、カバ、ネコ、ヒヨコ、ゾウが立体化された第一弾に続き、11月にはキリン、サル、ワニ、ウサギ、パンダが第二弾として発売された。好評のため今年4月から再販されたが、これに先立つ2月に女優・山本美月が「沸騰ワード10」(日本テレビ系列)でカプセルトイを紹介したことで、SNSを通じさらに注目が集まった。結果、コロナの外出自粛中の再販にもかかわらず、インターネットで予約購入が可能だったことも手伝い、売り上げは好調だったという。

 今年5月中旬には「ヴィレッジヴァンガード」でトートバッグやキーホルダー、Tシャツなどの「たべっ子どうぶつ」アイテムが発売された。店頭ほか、オンラインショップで購入も可能だが、こちらはすでに軒並み売り切れとなっている。続く6月中旬には、コンビニなどの店頭で販売される「一番くじ」の景品にもなった。こちらはビスケットの形そのもののクッションなど、上記のグッズ化とはまた違ったアプローチ。「くじ」はわずか2日でほぼ完売となり、時期は未定ながら再販が決まっている。

 いずれも「誰もが知っているロングセラー」という点がグッズ化の成功につながったのだろう。ギンビス広報・坂井さんは「たべっ子どうぶつ」42年の歩みについてこう解説する。

「1969年から前身の『動物四十七士』という動物型ビスケットを販売していたのですが、『子どもが食べやすいよう、より薄くて軽い食感のものを』という想いから、『たべっ子どうぶつ』は開発されました」

 粉や油の配合を試行錯誤し、薄くても割れにくい厚さ約4mmのビスケットが生まれた。なぜ動物の形かというと、創業者の宮本芳郎氏が大の動物好きだったから。46種類の動物がビスケットになっているが、商品パッケージにいるキリンとワニは、割れやすい形のためビスケットになってないという。パッケージといえば、今でこそおなじみのこのデザインが、発売当時はなかなか“奇抜”だったというのも、歴史を感じさせる。

「売り場で目立つようにという狙いから、当時お菓子のカラーとしては珍しいピンク色を採用しました。見慣れない見た目から、発売当初は思うように売り上げが伸びませんでしたが、次第に中身のおいしさが口コミで広がり、今では弊社の主力商品です」(坂井さん)

「たべっ子どうぶつ」といえばバター味が定番だが、歴史を振り返るとさまざまなフレーバーが存在する。キャラメル味(1982年)、ココア&ココナツ味(85年)、のり味・チーズ味(ともに87年)、アーモンド味・サックリミルク味(ともに88年)などなど。今ではチョコをしみこませた「たべっ子水族館」、ポテトスナックの「ぷくっ子どうぶつスナック」という派生商品もラインナップされている。

 詳しい数字は非公表とのことだが、景気にあまり左右されることなく、現在に至るまで売り上げをキープ。少子化の波にも負けず、17年12月期には、売上高が過去最高を更新したそうだ。

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