倒産「ミネルヴァ法律事務所」代表が懺悔の独占告白 「私を洗脳した“真犯人”がいる」

国内 社会 週刊新潮 2020年7月9日号掲載

  • ブックマーク

「代表の私が、法的に、道義的に責任を取らなくてはいけません。この罪は私が一生背負っていかなくてはいけない十字架だと思っています……」

 6月下旬、東京都内で取材に応じた川島浩弁護士(36)は、憔悴しきっていた。

「消費者金融などからの過払い金が戻らなくなってしまった、多くの依頼者の方々にはお詫びの言葉も見つかりません。本当に申し訳なく思っています。これ以上、被害者を増やしてはいけないと思い、事務所の解散を決めました。現在、第一東京弁護士会や日本弁護士連合会が全体像の解明を進めています。私は自らの責任を認めたうえで調査に全面的に協力していくつもりです。調査との齟齬が生じてはいけないので細かい数字までは明かせませんが、いま私がお伝えできることは、すべてお話しさせていただきます」

 か細い声で、言葉を絞り出すように語りはじめるのだった――。

 川島弁護士が2017年8月から代表弁護士を務めていた「東京ミネルヴァ法律事務所」は、6月24日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。約51億円の負債は弁護士法人の倒産としては過去最大だ。

 破産を申し立てたのは当事者のミネルヴァではなく、ミネルヴァが所属する第一東京弁護士会(一弁)。一弁の寺前隆会長は談話で、

「依頼者に甚大な不利益を与えるものであり、弁護士法人として到底許されるものではない」

 そう断じつつ、依頼者の財産を流出させないために、ミネルヴァの債権者として破産を申し立てたとの趣旨も述べている。というのも、一弁に、ミネルヴァの依頼者から“連絡がつかない”との苦情が相次いでいたのだ。“取り付け騒ぎ”が起きてもおかしくはなかった。

 そんな状況下で、川島弁護士は一部の関係者以外との連絡を絶った。法曹界や金融業界では自殺説も流れたほどだが、雲隠れ状態にあった数日のあいだ良心の呵責に苦しみ続けていたという。そして、とにかく依頼者に謝罪したいとの思いから、口を開いたのだった。

「私は事務所の会計が破綻しているのを把握していながら、依頼者のお金に手をつけ、身の丈以上の広告宣伝費を投入し続ける状態を看過してきました。その罪の重さは計り知れません。依頼者のお金というのは、消費者金融やクレジットカード会社から返還された、法定利息を超えた過払い金。これを預り金と呼び、いったん事務所の口座にプールし、2割程度の手数料を引いた8割を依頼者にお支払いします。負債額51億円は、おおまかに言って31億円ほどが預り金で、約20億円が広告宣伝費などの未払金です。ただこの31億円が広告代理店によって流用されていた。それを、私は止めることができませんでした。近年は過払い金返還請求訴訟の需要が減っているのに、広告費は減らさない。いずれ破綻する先細りのスキームでした」

 流用していた広告代理店に触れる前に、ミネルヴァの売り上げを見ていきたい。

 ざっと計算すると、過払い金などに特化していたミネルヴァの売り上げ(手数料収入)はひと月あたり1億円から2億円。これを上回る広告費が、長年、請求されてきたという。

次ページ:一蓮托生

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]