刑務所に戻りたい……出所して2日後、盗んだトラックで2人をひき殺した中年男の素顔

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殺人罪で起訴はされたが

「現場にはブレーキ痕もありませんでした。目撃者の話では、トラックはむしろ加速してきたと言います。そして、2人をはねた後、一度は停止したものの、すぐに走り去ったと。容疑者は『包丁などを使うよりも、車を使えば簡単に殺せる』とも語っているそうです。結局、6月19日、当初の無免許過失致死での立件は処分保留となり、容疑者をトラックの窃盗容疑で再逮捕。殺意を立証する証拠を集め、30日に殺人罪で起訴しました」(同・地元記者)

 警察と地検の執念といっていいだろう。それにしても、盛藤は一体、どんな男なのだろうか。福島県内にある実家の近隣住民は言う。

「盛藤吉高と報じられていたので、まさかとは思ったけど……なんで、あいつだけ、あんな人間になっちまったんだろう。親父さん実直な人だったし、後を継いだ兄貴も地域の活動に熱心で立派な人なんだよ。刑務所から出たばかりとニュースで言っていたけど、去年の親父さんの葬儀には参列していたんだけどね」

 つまり、刑務所生活はそれほど長くなかったということか。

「刑務所に入っていたというのもニュースで知ったほどだから、その辺はよく分からないけどね。でも、以前、会った時は、『塗装の仕事をしている』って言うから、しっかりやれよってハッパかけといたんだよ。カッとなるところがあるのかなあ。昔は結婚もしていたんだけど、女房が出て行っちゃってね。彼女の友人に居場所を聞き出そうとして、車に連れ込んだら警察に通報されて、監禁で逮捕されたこともあった」(同・近隣住民)

 別の住民も言う。

「パチンコ屋で球が出ないからと暴れて、警察の厄介になったと聞いたことがある。ただ、あくまで噂だよ」

「それにしたって、刑務所に戻りたいからって、なぜ人を殺すのかねえ。信じられないよ。亡くなった人も気の毒だけど、吉高の80半ばのお母さんは生きてるからね、そっちもかわいそうだよ」

 さて、殺人罪で起訴された盛藤容疑者には、どんな判決が下されるのだろうか。元検事で東京地検特捜部副部長も務めた若狭勝弁護士に聞いた。

「出所2日後の犯罪なら、累犯前科で刑は加重されます。殺人事件であることも明らかで、情状酌量の余地もありません。ただ、2人殺せば死刑などとよく言われますが、強盗目的だったり、チェーンソーで首を切るとか、犯行対応が残忍なものでないと死刑にならないケースが多い。今回の事件の場合、個人的には死刑にしていいと思いますが、実際は無期か懲役30年といったところではないでしょうか。検察としては、残忍性は無論、無差別殺人であることを強調しないと死刑の求刑も難しいかもしれません。死刑の求刑ができれば、1審は裁判員裁判ですから、裁判員の方も納得するでしょうし、何より懲役刑では容疑者の希望通りになってしまいますからね。1審で死刑の判決が下される可能性は高い。しかし、高裁ではひっくり返されると思います」

週刊新潮WEB取材班

2020年7月7日掲載

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