金正恩後継は「与正」有力と断じるのは時期尚早 他に3人もいる候補者の名前

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鍵を握るのは軍部の意向

 ちなみに韓国の聯合ニュースは2009年8月、金賢氏が01年ごろ、当局に処刑されていたことが分かったと報じたことがある。更に張成沢も13年に粛清された。

「聯合ニュースの報道は誤報で、私は金賢氏が生きている可能性もあると見ています。もし彼が北朝鮮の実権を握れば、長期政権になるのは間違いない。それほどの“陰の実力者”だと言われています」(同)

 こうした後継候補者の元には、側近が群がり、激烈な勢力争いが展開される。何しろ敗者は粛清される可能性がある。文字通り、自分の生死を賭けた権力闘争なのだ。

「金与正氏が後継者レースで有利な点は、誰の許可も必要とせず金正恩氏と日常的に会える唯一の存在だということです。もし正恩氏の健康状態が、周囲との意思疎通さえ不可能なほど悪化していたとしても、『以前、兄はこういう考えを持っていた』、『兄ならきっとこうするはずだ』と、正恩氏の“代理人”になることができます。これは他の“候補者”が絶対にできないポイントです」(同)

 重村教授によると、金与正自身は「正恩の後継者になりたい」という強い意欲があるわけではないという。

「側近が『私たちのために立ってください』と懇願している状態ではないか」と見る。ある意味で“神輿に祭りあげられた”状態だ。

「与正氏が北朝鮮のトップとなる確率は40%くらいでしょう。ならない確率を60%としたのは、彼女の抜擢に軍が賛成することはないと見ているからです。そもそも北朝鮮には儒教文化が残っており、女性の社会進出を喜ばない土壌があります。その上、軍の悲願は核武装で、アメリカに融和的だった金正恩氏の路線を苦々しく思っていました。次のリーダーこそは、軍の意向を尊重してくれる、それも男性が一番相応しいと考えているはずです」(同)

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