1987年、巨人の山倉捕手の再来を思わせる「セ・リーグ」各球団のMVP候補

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120試合制は昭和の原風景

 記者による投票で選出されるMVP、最高殊勲選手。優勝チーム所属の場合がほとんどであるものの、それ以外から選ばれることもままある。開幕前のほとんどの試合を観戦してきた徳光正行が、セ各球団のMVP候補をピックアップする。

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 紆余曲折、時を経てやっとプロ野球ペナントレースが始まりますね。昭和生まれの私にとっては、待ちに待った時がやっと訪れたと歓喜するばかりです。生まれながらの巨人ファン(ほぼ洗脳)でありまして、幼き頃に親しみました野球盤で打者の右左打席を間違えますと、父親にどやしつけられたことは今でも最大のトラウマでございます。さらに巨人の選手の名前をフルネームもちろん漢字で覚えないと、口もきいてくれない父の元で育ちました。

 小学校4年生にとって篠塚利夫(当時、現在は篠塚和典)の「篠」や河埜和正の「埜」は難解だったな~なんて今でも脳裏を過るときがございます。

 今年のプロ野球は、選手も関係者も我々ファンも過去に例を見ない開幕を迎えることとなってしまいました。

 3月後半もしくは4月になれば、贔屓のチーム(私の場合、家柄的に巨人1択)に声援を送り、勝った負けたで一喜一憂していた当たり前の日常が、こんなにも愛しくて遠い日々だったのか? と思っている方も少なくないかと思います。やっと、その当たり前の日常が戻ってくることを喜びと感じましょう。

 過去の例をとりましても、2011年東日本大震災が起きました際に3月25日に予定されていた開幕戦が4月12日になったことはありましたが、それ以外で開幕日がズレこんだことは私の記憶にございません。

 さらに2011年に際しましては、当時のプロ野球選手会会長東北楽天ゴールデンイーグルス嶋基宏捕手の「見せましょう、野球の底力を。見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を。共に頑張ろう東北! 支え合おうニッポン!」というスピーチに、野球に関わるすべての人々が感動しました。一丸となって、プロ野球を盛り上げようとなりましたが、今回は事情が違いすぎます。選手とファンが手に手を取り合って、球場が一丸となることができないという現実は冷酷です。他にも腹が立つことは沢山ありますが、改めて新型コロナウイルスを心底恨みたくなります。

 少しネガティブになりましたが、そんなことを言っていても何も始まらないので、ファンとして今年のプロ野球との接し方を改めて考え直しまして、ポジティブに捉えてみたいと思います。

 まず、ここ数年公式戦は143試合と定着していましたが、今年は120試合になります。交流戦・オールスター戦なし、セ・リーグはクライマックスシリーズなし(パ・リーグはあり)……。これは昭和からプロ野球を見続けている人間にとって、見慣れた原風景のようでシンプルで見やすくなった気がします。一方で、選手にとっては日程的余裕がなく、詰め込みになって大変だとは思いますが、この多からず少なからずの試合数だと、思わぬ選手の活躍がありそうな気がしてなりません。

 1987年の巨人軍山倉和博捕手のように、いきなりのダークホース的存在の出現があるのでは? なんて期待してしまいます。打率.273、ホームラン22本、打点66の成績もさることながら、江川卓・槙原寛己・水野雄仁・桑田真澄の10勝以上カルテットを成立させたこともMVP獲得の大きな要因ではありましたが、あの年に山倉さんをMVPと予想した人は皆無だったと思います。

 というわけで、野球評論家でもなく1野球ファンでしかない私が僭越ながら今年の順位予想と各チーム思わぬMVP候補を挙げさせていただきます。キャンプやオープン戦は見ていたのでそこだけは加味いただけましたら幸いです(出しゃばって知識のないパ・リーグに口を出しますと墓穴を掘りますので、セ・リーグ限定と致します)。

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