「雅子さま」皇室の伝統行事「養蚕」受け継ぎ、背中を押した“雅子さま以外には…”

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他の私的行為とは違う

 雅子さまが美智子さまの後を継ぎ、今年から取り組まれている「養蚕」は、歴代皇后が継承してきた皇室の伝統行事。執り行われるのは、皇居のほぼ中心部に位置する「紅葉山御養蚕所」。木造2階建てで1914年に建てられた施設だ。雅子さまは5月29日、蚕に桑の葉を与える「御給桑(ごきゅうそう)」に臨まれた。

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 美智子さまから皇后としてのお勤めが引き継がれてきた雅子さま。もっとも、美智子さまが行ってこられたご公務のすべてを雅子さまが引き継ぐ必要はないという。宮内庁担当の記者によると、

「皇后さまのお仕事は、あくまで天皇陛下のご公務を一緒に行うことに尽きます。ですからそれ以外、例えば、皇后さまが熱心に携わっていらっしゃる児童への図書普及の取り組みは、基本的に私的なご行為です。それを、雅子妃が義務的に引き継ぐ必要はありません。むしろ、雅子妃が独自に関心のある事柄への取り組みが、新たに行われることになるかもしれません」

 しかし、「養蚕」だけは、他の私的行為とは事情が異なる。

「皇室と養蚕のつながりは古く、日本書紀にも記述があるほどです。長らく途絶えていた期間もありましたが、明治時代に昭憲皇太后が復活させました。それ以降、養蚕の仕事は、歴代皇后陛下の仕事として、受け継がれてきています」

 皇居中央にある紅葉山御養蚕所で育てている代表的な蚕は「小石丸」と呼ばれる種類。その絹は、正倉院の宝物を修復するために使われている。

「小石丸は古来種ゆえ産卵数が少なく、病気にも弱い。少しの環境変化にもとても敏感です。飼育には専門的な知識とかなりの手間を要し、一度は飼育の中止も検討されました。しかし、美智子さまの『後世に残したい』とのお考えで、継続することになったのです」

 美智子さまのころの養蚕の様子については、

「美智子さまは目の前で蠢く数百匹の蚕を前に、『まあ、かわいい』と微笑みながら素手で取り上げられていましたよ。虫が苦手な記者が、その光景から目を背けるシーンもあったりしましたが……。養蚕はコメ作りと並び、かつて日本の農家を支えてきた大きな柱のひとつでした。米作を天皇陛下が行い、養蚕を皇后さまが執り行うことによって、日本農業の伝統を後世に伝えつつ、豊穣を祈念されているのです」

 宮内庁関係者は、こう明かす。

「雅子さまは皇后陛下に即位されてから体調もよく、すべてに意欲的でいらっしゃる。何より天皇陛下と一緒に行動ができているという事実が、それを物語っていると思いますよ。もちろん、養蚕に関してもとても前向きに取り組まれています。過去に、ご予定を急に取りやめられる“ドタキャン”や逆に予定外ながらお出ましになられる“ドタ出”があったかと思います。雅子さまは、“周囲に対して迷惑をかけた、これまでのことを取り戻したい”という気持ちでいらっしゃるようです」

 その一方で周囲はというと、

「雅子さまに対して、一心に支えていきますという態勢で、皇后としてのお勤めをなされるのは雅子さま以外にいらっしゃいません……などと声をかけてきた。話自体は当たり前のことかもしれませんが、その口ぶりの温かさが雅子さまの心にも響いたのでしょう。公務はもちろん、私的なご行為についても、美智子さまがやられてきたことは担っていきたいというお気持ちのようなのです」

週刊新潮WEB取材班

2020年6月8日掲載

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