小池都知事、7月の知事選は“無敵” 人気とりのバラマキで東京都の財政は…

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 大阪、京都、兵庫の3府県で緊急事態宣言が解かれた5月21日、首都圏と北海道では周知の通り、解除が見送られた。埼玉県と千葉県は、直近1週間の新規感染者数が人口10万人当たり、1日平均で0・5人程度以下、という基準を満たしていたが、1都3県は経済および生活圏として「一体」と判断され、2県は巻き添えを食った格好だった。

 もっとも、1都3県の知事は、「一体」であるのを承知していた。21日に国が解除判断をするのに先立って、19日、4知事がテレビ会議を開いた際も、小池都知事は「1都3県は通勤通学によって生活圏、経済圏が重なっている」と強調。そのうえで「解除に向けて足並みそろえながら進めたい」と訴えると、ほかの3人も同調し、緊急事態宣言が解除された際は、それにともなう外出自粛や休業要請の解除は、1都3県が「一体となって」行う方針が確認されていた。

 さて、緊急事態宣言は25日、晴れて全面解除となったが、「そろえる」と確認されたばかりの「足並み」はどうだろうか。

 そもそも小池知事は、くだんのテレビ会議が行われる以前の15日、宣言解除後に緩和を段階的に進めるための、都独自の「ロードマップ」について語り、22日には正式に発表した。都政担当記者にその骨子を説明してもらうと、

「新規感染者数、うち接触経路を追えない割合、陽性者増加比、重症患者数、入院患者数、PCR検査の陽性率、窓口での相談件数の七つの指標を用いて、新規感染者数が1週間平均で1日当たり20人未満、などの基準を満たしたかどうかを2週間単位で評価。数字がよければ次のステップに進むけれども、基準を超えたら“東京アラート”を発動し、レインボーブリッジを赤色に点灯させる、というものです」

 6月1日をもって「2」に進んだステップの、その具体的な中身についてだが、

「ステップ3まであり、ステップ1では博物館や美術館、図書館、観客席を除く体育館などへの休業要請を緩和。飲食店の営業は22時まで認め、お酒も22時まで出せます。イベントは50人までですね。ステップ2では観客席を含む運動施設のほか、学習塾や劇場、映画館、集会場、生活必需品以外を売る店などが対象になり、100人までのイベントも可能です。ステップ3でネットカフェやパチンコ店、ゲームセンター、遊園地などが認められ、飲食店も午前0時まで営業可能になります。ただ、接待を伴う飲食店やライブハウス、カラオケボックス、スポーツジムなどは、それでも営業できません」

 一方で、たとえば神奈川県の黒岩祐治知事は、接待を伴う飲食店やライブハウスなど、「3密」になりやすいとされる業種も含め、一斉に自粛要請を解除。端から「足並み」はそろっていないのである。前都知事の舛添要一氏は、

「不思議なのは“首都圏は一体だ”と言いながら、ロードマップを一緒に進めないこと。他県はパチンコ屋も雀荘も開けるのに、東京だけ開けなければ、じゃあ千葉や埼玉に行こう、という話になってしまう」

 と首を傾げるが、実は、初っ端から小池知事のフライングで、足並みは少しもそろっていなかった。

「4月7日に緊急事態宣言が出されると、小池知事は休業要請に応じる店や施設に1店舗50万円、複数店舗の場合、最大100万円支払うとアナウンス。大盤振る舞いで自身の人気につなげましたが、都が当時、9千億円超の内部留保を抱えていたからできたこと。首都圏の3県は追随できませんでした。5月5日には宣言の延長に合わせ、同額の追加支給を発表しましたが、やはり3県は無理。神奈川の場合、1店舗20万円、追加支給は10万円で、最初から足並みどころではないのです」(先の記者)

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