小池都知事、7月の知事選は“無敵” 人気とりのバラマキで東京都の財政は…

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財政破綻の危機

 さらに問題は、人気とりが目的のバラマキでなにが生じたか、であり、

「東京都の財政がアウトになる可能性がある」

 と、舛添氏は指摘する。

「都は石原都政の終盤ごろから、私も相当がんばりましたが、貯金をしていました。財政調整基金と言って9345億円ほどあったのに、大盤振る舞いの末、もう500億円ほどしか残っていません。東京都の場合、景気がいいと多額の法人事業税と法人住民税が入りますが、来年はこの法人2税の激減が目に見えています。だから減収分の補填が必要なのに、そのために貯めていた財政調整基金は残っていない。自身の選挙のために撒いた面もあると思いますが、結果、財政が破綻する恐れすらあります。それでも自分が再選できればいいのでしょうか」

 緊急事態宣言の解除とともに、追加の協力金は支払われない旨が告げられたが、単に、無い袖は振れなかったにすぎない。

 もっとも、大盤振る舞いの有無にかかわらず、7月5日投票の都知事選で小池知事は無敵である。自民党は候補者擁立を見送り、野党の統一候補擁立も難航しているうえ、

「ロードマップに従えば、自粛期間は投票日前に完全には明けません。つまり選挙まで毎日、記者会見を開いてテレビに出続け、一所懸命やっているように見せられる。東京都は小池さんが出るCMにも相当お金を使ったはずですが、現職だから、“これは選挙運動ではなくコロナ対策だ”と言える。そういう戦略なのだと思います」

 と、舛添氏。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、

「選挙に関しては、小池さんは余裕綽綽です」

 と言いつつ、こう見る。

「私が小池さんを一番信用できないと感じるのは、目立ち続け選ばれ続け、政治的な嵐を呼び起こし続けること自体に、意義を見出している点です。もはや都知事選は楽勝なのだから、そこまでポピュリズムに舵を切らなくてもいいのに、政治的に自分に有利な状況を作り出し、支持を集め続けること自体が、自己目的化しているように見えます」

 そのために段階的な解除の道を選んでいるのだとしたら、命を守るという建前でその実、自分を守るという、都民ひいては国民への甚大な背信行為であろう。

 都知事選への出馬が噂されるホリエモンこと堀江貴文氏は、事実上の不戦勝が囁かれる小池知事に向かって、YouTube上でこう宣戦布告している。

「飲食店の営業時間を2時間ごとに緩和するとか、この業種は休業要請を続けるとか、スポーツジムとかライブハウスとか再開できねえだろう。そんなこと言ってたら彼ら、ステップ3にすら入ってない業種はどうなる? 6週間かかるんだぞ、そこまで最短で行っても。(中略)こうやって外に出歩けない環境をずっと作って、対立候補者が街頭演説したりできないようにするための、お前の選挙対策にしか見えないぞ。わかってんのか、小池!」

 事実、ごく小規模な集会しか認められていないなか、対立候補がそれを破って街頭演説でもしようものなら、激しい同調圧力によって非難されることだろう。

週刊新潮 2020年6月4日号掲載

特集「民衆を導くのは『女神』か『死神』か」より

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