好評だったNスペ「未解決事件 JFK暗殺」 専門家は「事実誤認が多い」と苦言

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NHKは文書で回答

 おまけに日本では「真実」ではなく、「真理」という訳語を使うことが多いようだ。例えばインターネットで検索すると、「あなたがたは真理を知り、真理はあなたがたを自由にします」と紹介されている。

 真実という言葉を使うと、いかにも政府の陰謀を連想させるが、真理となると一気に宗教色が強くなる。

 ちなみに、「真理は自由にします」の言葉は、東京都内の国立国会図書館の壁にも書かれているという。NHKの論法を使うなら、オズワルドは国会図書館とも深い関係を持っていたことになってしまう。

 NHKに取材を申し込むと、文書で回答があった。項目別に全文をご紹介しよう。第1点目は「オズワルドが犯人だと断言できる証言は1つもなかった」というナレーションの問題だ。

《NHK は、ケネディ暗殺研究者の土田宏城西国際大学大学院教授、及びアメリカの専門家たちの監修を受けながら取材して参りました。ブレナンの証言も当然承知しております。ブレナンの証言にいくつもの疑いがあることはアメリカの専門家による研究や土田教授の最新研究で指摘されていることでもあり、例えば「オズワルドが立って撃った」というブレナンの証言と現場の状況に矛盾があることや、「残された薬莢の数とオズワルドの射撃動作の矛盾」、事件後に「目の手術を受けた」ことから視力に問題があったのではないかという指摘などから、「犯人だと断定できる証言」ではなかったと考えております》

 第2点目は、IGレポートが商業出版も行われていたという問題だ。

《今回、番組では、2018年に入手した「IGリポート」をもとに取材を進めました。出版化 された際に黒塗りされていた箇所の黒塗りが無くなって固有名詞などが分かる最新のものです。文書には、「secret eyes only」と記載されており、通常表に出ることがない内部のやりとりと理解しております》

 第3点目は「オズワルドはパレードを見たのか?」という問題だ。

 番組では、オズワルドがFBIの取り調べに対し《1》「昼食後、パレードを見るために外に出た」と供述し、《2》「12時25分に1階でオズワルドを見た」という証言があることも紹介し、ウォーレン報告書や政府見解に疑問を投げかけた。

 だが、《1》も《2》も信憑性に乏しい供述・証言ではないかという問題だが、以下がNHKの反論になる。

《《2》の証言をしたアーノルド女史は、FBI の聞き取りを二度受けていて、最初は 12 時 15 分の数分前というコメントですが、二度目には 12 時 25 分と訂正、証言にサインしています。画面にはヒアリング2回分の資料が映っております。また《1》について私たちが問題視したのは、FBIが聴取した「本人」による情報でありながら、それが表に出てい なかった事実です。《1》と《2》の資料でお伝えしたのは、オズワルドが 6 階にいたかどうかではなく、「重要な情報が、なぜ政府の結論から抜け落ちたのか」という点です。番組内でもそのようにコメントもしております》

 最後の第4点目は、引用された聖書の問題だ。人口に膾炙した一節であり、CIAとの特別な関係を現すものという評価は過剰だという指摘だ。

《「真実はあなたがたを自由にします」という言葉は、元 CIAの職員達から取材で得た言葉です。あくまで、CIAの職員がこの言葉を大事にしていたという事実、そしてオズワルドが生前この言葉を語っていた事実を実録ドラマ内で伝えたものです》

週刊新潮WEB取材班

2020年6月1日掲載

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