中高生の妊娠相談が過去最多に コロナ禍影響、現場の分析は

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「ステイ・ホーム」はいつまで続くのか。中高年の間ではDVや離婚が増えているというが、若者にはまた違った悩みがあるようだ。

「10代の子、中学生から大学に入ったばかりの子たちからの妊娠の相談が増えています」

 と話すのは「小さないのちのドア」の西尾和子施設長だ。同施設は神戸市北区にある「マナ助産院」が2018年9月に開設。予期せぬ妊娠の相談をLINE、電話などで24時間受け付けており、相談は全国から来る。

「これまで新規の相談は毎月20人ぐらいでしたが、3月は46人、4月は89人と急増。普段は20代から30代の相談が大半ですが、3月からは7割ほどが10代になりました」(同)

 親が育てられない乳幼児を受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)で知られる熊本の慈恵病院も同様だ。

「中高生からの妊娠相談は3月頃から増えだして、4月には同月としては過去最多の75件になりました。すべての妊娠相談が592件ですから、中高生の割合は約13%。他にも『未成年』や『10代』といった曖昧な回答の相談者を加えれば、実際には若者の割合はもっと多いでしょう」

 と同病院の蓮田真琴新生児相談室長。こちらも電話やメールで24時間受付中。

「夏休みや冬休みの後は、中高生の問い合わせが増えるのですが、『学校が休みで、彼氏との性交が頻回(ひんかい)になって心配』といった内容や、思いがけない妊娠や避妊の失敗についての相談が寄せられています」(同)

 かと思えば、

「休業や自粛でバイト先がなくなり、経済難から援助交際に走り、不安になったというケースも」(西尾氏)

 特に4月になって相談が増えた理由を、西尾氏はこう分析する。

「3月は全国に休校要請が出て学校が休みに。しかし、親御さんがまだ出勤しているケースがほとんどでした。自宅に彼氏を呼んでセックスしてしまい、4月になって生理が遅れて心配になるというわけですね」

 急増の背景には、やはりストレスがあると話す。

「精神的に不安定になると、女子は孤独感を埋めるためにそういう行為に及んでしまうことがよくあります。男子の場合はストレスから性衝動に走りやすくなります。災害時には予期せぬ妊娠が増えるという研究データもあるぐらいです」

 アドバイスに当たっては10代の子たちは不安が強いので、全面的にサポートすると伝えるという。

「性行為の時期によってアフターピルが間に合うのか、妊娠検査薬で確認すべきか、具体的に選択肢を提供しながら不安を解消させていく。親御さんもいきなり怒らずに、『大変だったね』とまずは受け止めてあげる。この機会に親子で生きる意味などを語り合ってほしいです」

 確かに、子どもを無闇に責められない話ではあるのだろう。

週刊新潮 2020年5月28日号掲載

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