日本唯一、大学で「ゾンビ学」を教える研究者、学生が勉強して何の役に立つのか?

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 日本で唯一、大学でゾンビについて教えている研究者がいる。近畿大学の岡本健准教授(36)だ。大学でゾンビを学んで、「なんの役に立つ」と思われる方も少なくないだろう。が、もちろん目的はきちんとある。ご本人に話を聞いた。

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 ゾンビと聞くと、まずはホラー映画に出てくる「死体のまま蘇った人間」を思い浮べるだろう。

「ゾンビ(Zombie)は、西インド諸島ハイチの宗教ブードゥー教の呪術によって生み出されたものが起源となっています。ブードゥー教の呪術師が、ゾンビ・パウダーなる粉末を用いて死体を蘇らせたという言い伝えがあります。人類学者ウェイド・デイヴィスの論文『ハイチのゾンビの民族生物学』(1983年)によると、このゾンビ・パウダーの中には、フグ毒で知られるテトドロトキシンが含まれていることが報告されています」

 と解説するのは、岡本氏である。彼の専門は観光学とゾンビ学で、2018年から同志社女子大学、19年から近畿大学でゾンビ学の講義を行っている。受講生は同志社女子大で260人、近畿大学では360人もいて、超人気講義だという。4月に『大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~』(扶桑社新書)を出版したばかり。近畿大学では昨年、オープンキャンパスでゾンビの謎解きイベントも開催した。

「講義名は、さすがにゾンビ学では文科省のカリキュラムとして認められないので、同志社女子大は『メディア社会学』、近畿大学は『現代文化論』としています。どちらも範疇があいまいなので、中身はゾンビ学でも大丈夫かなと。いずれも専門科目です。近畿大学は受講生が多いので、クラスを2つに分けて講義しています。ゾンビ映画の中には、『ウォーム・ボディーズ』のようにイケメンゾンビが登場するラブロマンスものもありますし、ゾンビは女性にも人気となっていますよ」

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