中日、「根尾」「石川」で強竜復活の期待 落合GM退任後のドラフト成功で底は脱したか

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チームの底は脱した

 一方の投手陣は野手よりも早く世代交代が進んでいる印象を受ける。柳、笠原、小笠原の三人は既に一軍での実績があり、年齢を考えると、5年後にはちょうど働き盛りを迎えている。そして、この三人以上にエース候補として期待できるのが梅津だ。昨年はシーズン終盤だけで4勝をマークしており、投球内容も素晴らしかった。大学時代から故障が多いのは心配だが、スケールを考えるとリーグを代表する投手になれる可能性を秘めている。

 ルーキーの岡野、昨年ブレイクの兆しを見せた山本も楽しみな存在だ。名前を挙げた選手以外にも勝野昌慶、石川翔など若手に楽しみな素材が控えているのも大きな強みだ。

 リリーフ陣も悪くない顔ぶれが揃っている。特にキーマンとなりそうなのが鈴木博志だ。昨年は安定感を欠きながらも14セーブをマークしており、ボールの力自体は申し分ないものがある。クローザーとして定着できれば、チームの未来は一気に明るくなるだろう。サウスポーではルーキーの橋本が面白い。短いイニングであれば圧倒するような投球を見せるだけに、早い段階から戦力になる可能性も十分にあるだろう。

 全体的な顔ぶれを見ると、チームの底は脱した印象を受ける。特に落合博満GMが退任した後のドラフトで獲得した選手は、将来チームの柱となれる可能性を秘めた大器が揃っている。しかし、その一方で野手は特に現在25歳以下の若手で実績のある選手は少なく、まだまだ層が薄い印象を受ける。名前を挙げた選手はルーキーが多く、全員が順調に成長することはなかなか考えづらいだけに、今後もチームの中心になれる大物野手を積極的に狙い続ける必要があるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年5月11日掲載

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