精神科医が伝授「コロナ自粛」でも心身を病まない過ごし方 高齢者は危険

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節制すると意欲が落ちる

 高齢者が元気でいるためには、意欲的であることが非常に大事です。いまは意欲をもって外に出たら袋叩きに遭うような勢いですが、こうした節制型の生活が続くと意欲が落ち、我慢してストレスをためるほど、老化は進みます。

 テレビでは連日、外に出る人が極悪人であるかのように言っています。高齢者は、それを真面目に受け止めがちですが、テレビに出ている感染症専門医の言いなりになって家でじっとしていると、動けなくなりかねません。少し歩かないだけで、筋肉が細る廃用現象が起きやすいのです。

 1時間に1回くらいは体を動かしてください。家に階段があれば上り下りは効果的です。それに、少し陽や風に当たるだけで気分がリフレッシュするので、散歩はしたほうがいい。

 また、高齢者は脳内物質セロトニンが不足しがちで、鬱になりやすいのに、いまは気分が落ち込むようなニュースばかりです。さらに閉じこもって動かないと腹が減らず、肉を食べる気にならない。すると、肉に含まれ、セロトニンの生成を促す必須アミノ酸も不足します。セロトニンの分泌を促すためにも、陽に当たったほうがいいのです。

 また、喫煙者がコロナに感染すると重症化すると言われていますが、愛煙家はタバコを吸って気分を換えてもいいでしょう。山手線に飛び込んで自殺した人は、タバコを吸わない人が多いと聞きます。

 要は、過度に節制しないこと。楽しみを追求し、動き、適度に外にも出てください。コロナを怖がる余り、視野狭窄になることが、一番怖いのです。

和田秀樹(精神科医)

週刊新潮 2020年5月7・14日号掲載

特集「『コロナ』光と影」より

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