安倍政権は“貴族”の政治(KAZUYA)

国内 政治 週刊新潮 2020年4月30日号掲載

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 政治の中心に行けば行くほど、大多数の国民の感覚からは遠ざかってしまうのかもしれません。

 外国とのやりとりもありますし、巨額の予算を扱う都合上、庶民的であれば良いというわけでもないでしょうが、庶民的な感覚を失ってギャップが大きくなると、行動や政策が頓珍漢なものになって、国民から理解を得られなくなります。

 ミュージシャンで俳優の星野源さんがSNSに投稿した「うちで踊ろう」という楽曲動画に、安倍総理が家でくつろぐ様子の映像を合わせてTwitterに投稿した結果は、まさに賛否両論でした。

 緊急事態宣言が出ている中、要は家で過ごすよう訴えたいのでしょう。しかし「今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります」との文章とは裏腹に、映し出されるのんきな安倍総理の姿が反感を買います。

 家で過ごすように訴えるのはいいのですが、見せ方が最悪です。総理大臣レベルの発信にはプロが付いているものと思っていましたが、アレにプロがゴーサインを出しているとすると感覚がズレすぎです。このKYっぷりは昭恵夫人がアイデアを出したのかと疑ってしまうほどです。

 医療従事者からすると、今は戦場で戦っているような感覚でしょう。全国的に外出自粛を促されている中、医療従事者は休むことが出来ないどころか、常に感染リスクと隣合わせなのです。負担の軽減とツイートしつつ、くつろいだ映像というのはミスマッチです。

 Twitterで見せるとすれば、総理大臣として国が打ち出している緊急支援の周知に努めるのが優先でしょう。安倍総理のTwitterを見ると、8日に台湾への感謝の言葉を述べたきり、3日間空白の時間があり、その後に件のツイートになります。

 総理が、体調を悪くしたり、倒れたりするわけにはいきませんから、適度な休養を取りながら仕事をしていただきたいですが、もっと他に発信することがあるでしょう。例えば事業者向けですが、コロナ対策として拡大された雇用調整助成金の特例措置などの周知です。

 世の中は優雅にステイホーム出来る人ばかりではないのです。今はまさに有事ですから、苦しい人に寄り添う姿勢が必要になるでしょう。

 しかしいつもの反安倍だけでなく、保守層からも批判が多くなり、支持率も低下したせいか、補正予算における経済対策の中身にも変化が見られます。当初収入が大幅に減った世帯に30万円を給付するとしていましたが、条件が厳しく手続きも複雑で給付対象が絞られるため批判を浴びました。そして一律10万円給付へと舵を切ります。

 出来るなら最初からやれよという話です。これは明らかに国民の反発が大きいと見たからこその軌道修正でしょう。

 政府がないと言ったものは後から出てくるし、出来ないと言ったものは批判が多くなるとやる方向になるし……国民の政治不信は強まるばかりです。やはり感覚がズレているのでしょう。国民が声を上げることによって修正を図らねば。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者70万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)