「スーツ2」初回放送で発見した“もの凄いこだわり“ ゲストとカットに隠れた意図がある

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 新型コロナの影響で、史上かつてなかった大混乱がテレビ業界に起きている。

 志村けんさんが新型コロナに罹患し亡くなったことに衝撃を受けて間もなく、今後はテレビ朝日「報道ステーション」のメインキャスター・富川悠太アナウンサーが新型コロナに罹っていることが判明。4月17日~19日の3日間、テレビ朝日は六本木の本社全館を封鎖し、感染拡大防止のための消毒を行うことになった。

 ニュース、バラエティ、トークなど、スタジオ収録やスタジオ中継を含む番組ではSocial Distancingという考え方から、出演者はテレビの画面左右いっぱいに離れたところに位置するようになった。

 新型コロナは連続ドラマにも深い影を落としている。

 4月にスタートするはずだった連ドラで、いつから放送開始できるのかすらまだアナウンスされていないものが実はたくさんある。現在、新型コロナの影響からドラマ撮影はほとんど中止に追い込まれているため、OAの見通しが立たないからだ。

 ちなみに4月14日現在、民放地上波のドラマで放送予定のメドが立っていないものは……

*火曜21時「竜の道 二つの顔の復讐者」フジテレビ

*火曜22時「私の家政夫ナギサさん」TBS

*水曜22時「ハケンの品格」日本テレビ

*木曜21時「BG~身辺警護人」テレビ朝日

*木曜22時「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」フジテレビ

*金曜20時「らせんの迷宮~DNA科学捜査~」テレビ東京

*金曜22時「MIU404」TBS

*土曜22時「未満警察 ミッドナイトランナー」日本テレビ

*日曜21時「半沢直樹」TBS

 プライムタイム(19時~23時)に放送を予定している連ドラに限ってざっくり見ても、これくらいはある。

 こんなことは戦後テレビが始まって以降、初めてのことだろう。

 しかし、そんな中、予定通り4月13日よりスタートし、一人気を吐くドラマがある。
それが「SUITS/スーツ2」(フジテレビ系 毎週月曜21時~21時54分 初回、第二回は拡大枠)だ。

 2018年10月スタートした前作「SUITS/スーツ」は、アメリカの人気連ドラ「SUITS」の日本版ドラマであることや「東京ラブストーリー」以来、織田裕二と鈴木保奈美が27年ぶりに共演することなど、話題性が数多くあった。

 今回の「SUITS/スーツ2」はその続編だということもあるためか、公式webサイトを見るとフジテレビは今回もこのドラマに並々ならぬ力を入れていることがわかる。

[フジテレビ「月9ドラマ」枠は、1987年4月から放送を開始して以来、134作品のドラマを放送してきました。135作品目となる今作は、これまでの最長話数となる全13話(※注釈1)を超える“月9”史上、歴代最長の話数での放送が決定! 通常の話数より大きく拡大し、7月まで放送されることも決まっています(話数未定)]
(フジテレビ「SUITS/スーツ」公式サイト)

 私も「どんなもんなのかなあ?」と思い、「SUITS/スーツ2」の初回放送を見た。録画で5回ほど繰り返し見るたび、毎回いろいろな発見があった。

 私個人は、とりわけシナリオには感心した。

 これからFODなどで改めて一話を見る人もいるかもしれないのでストーリーやあらすじは書けないのだが、ドラマ展開に関して少しだけ説明すると下記のようになる。

*法律事務所に勤務する甲斐(織田裕二)と、その部下の鈴木(中島裕翔)は規模感がそれぞれ全く異なる案件を抱えているが、実は二つの事案には解決に繋がる共通したテーマが隠されている

*二人がそれぞれの事案を追う中で、それぞれがそのテーマに近づいていく

*ドラマ終盤、二人がそれぞれ追っていた異なる二つの事案には共通したテーマがあることに気付き、二人は事案を解決に導いていく

 抽象的な説明にならざるを得ず申し訳ないが、伏線の張り方やその回収プロセスなどが見事で、ドラマの最後の方ではまるで残されたパズルのピースがピタッとハマったような心地よさがあった。

 シナリオに限らず、見れば見るほどこのドラマは、「それぞれの職域の“プロ中のプロ”が参画して、それぞれの匠の技が集結して出来上がったドラマ」だと思った。

 そもそもフジテレビドラマの制作チームは、元々日本の映像コンテンツ制作チームの中でも最優秀集団の一つだと言われてきた。彼らがお金も時間もかけてドラマ制作を手掛ければ、一定レベル以上の完成度の高いドラマにはなるのだろう。

 だが、この“完成度の高いドラマ”というフレーズは、よくあるドラマ評にあるお決まりのコトバでもある。

 そんな“よくある定番フレーズ”だけでこのドラマをさっと紹介するのはかなり難しいことだし、制作スタッフや出演者の方にも失礼になると思う。

 通常のドラマが「高い完成度を目指している」のだとしたら、「SUITS/スーツ2」は「高い完成度への執念と執着を激しく持っている」ドラマだった。

 高い完成度を実現するために制作スタッフや出演者たちはこのドラマ制作で実際にどんなことに気を遣い、その結果何をしたのか。そこにはどんな努力があったのか。

 そんなことを見ていけば、このドラマが持っている「執念」「執着」を初めてリアルに紹介できると思う。

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