杏が苦悩する実母との骨肉裁判 “母は霊能者に心酔”“自分の稼ぎで借金返済”の主張

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借金1億円

 ところが、だ。

 そんな絶頂期の2014年夏、杏は突如、弁護士を立て、母親に「退職し、トップコートと直に契約する」と通告するのである。仰天したのは母親だ。慌てて弁護士を立て、無効であると主張するが、杏は聞く耳を持たなかったという。仕方なく翌2015年、由美子さんは東京簡裁に調停を申請。ここから始まる係争の中で、杏側は大要、以下のように主張したのである。

「母は『女性霊能者』に心酔している。その『霊能者』は飲食店を経営しているが、自宅には祭壇があり、太鼓を叩いて祝詞をあげ、神に祈祷しながらお告げを聞く、という儀式を行うという。母は彼女に洗脳されていて、毎月2回は日本酒の一升瓶を“お神酒”として届けていた。自分に対しても“今度の仕事が決まったのは神様のおかげだよ”と言うこともあり、挙句、毎年、T社から多額のコンサル料を支払い、しかも増額することも検討していた」

 由美子さんには、先に述べた宗教傾倒の「過去」があるだけに、妙にリアルに聞こえてしまう訴えである。

 続けて、杏は、母は自分に無断で、会社の金を使い、自らの借金を返済しているのだと主張した。

「会社設立の時点でも債務がまだ1億円は残り、弁護士を入れて債務整理をしていた。弁済資金として母はT社から約6500万円を借り入れ、更には、娘である自分の預金からも2900万円を返済に使っている。借用書は作っているものの、自分にはひと月5万円しか返済がない」

 すなわち、T社は、自分が努力して稼いだ金を母が収奪する装置。そのことに気が付いた。これらのおかげで母は2014年の時点で借金を完済しているため、これを機に退職することにした、と主張したのである。

 この主張を由美子さんは全否定。調停は不調に終わる。そして、2017年の年末、ついに訴訟に打って出たというワケなのだ。

 由美子さんが請求したのは、まずは、雇用契約上の地位、すなわち、杏がT社の従業員であることの確認。そして調停の席などで自らの名誉を毀損した慰謝料として1千万円。そして後に、杏がこのままT社に所属し続けたとして、得ていたはずの利益を20年間で約12億円と計算。本来はそれを求めたいが、まずは3千万円をT社に補填せよ、との請求も付け加えたのである。

 杏は芸能界で“母親想い”として知られる存在だったという。

 先のデスクによれば、

「渡辺謙が由美子さんと別居を始めた際、当時中学生だった杏も連れられて家を出ているのですが、すぐに母親の元へと戻っています。『杏』という名でデビューしたのも、渡辺謙の七光りは嫌だという理由もありましたが、当時同居していたお母さんへの遠慮もあったのです」

 それがこの骨肉裁判である。ボタンの掛け違いはかくも恐ろしいが、訴訟が進行するにつれ、両者の対立は激しさを増す一方。

 母・由美子さんは娘の訴えに対し、おおよそ以下のように反論した。

「『霊能者』は多少、宗教がかったところはあるものの、単なる飲食店の経営者であり、コンサルタントに過ぎない。そもそも、彼女を頼り、相談を持ち掛けていたのは杏の方で、娘も承知の上でコンサル料を支払っていた。借金の返済も杏が望んだことであり、了解の上で行っていた」

 これに対して杏も、

「『霊能者』に相談したのは、母が彼女の言うことなら聞くからである。借金の返済も事前に聞いていない」

 と応戦。

 互いの主張はまったくかみ合わないまま、真相は藪の中。裁判は進行していったのであるが、母・由美子さんの心中では、自らを捨てた娘への憤りが煮えたぎっていたのか、あえて公開の法廷の場に持ち出すのは不必要と思えるような「暴露」も行っているのである。

(2)へつづく

週刊新潮 2020年4月16日号掲載

特集「『東出騒動』の陰で『杏』を苦悩させる『骨肉裁判』」より

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