経済同友会トップは「10万円給付は電子マネーで」発言の裏に“さもしい根性”が見え隠れ

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日本経済は悪化の一途

 ダメ押しは、ブルームバーグが4月8日に配信した、「日本の4-6月期GDP予想、マイナス25%に下方修正-ゴールドマン」の記事だ。

《日本の4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率が前期比年率マイナス25%と、データをさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込みとなるとの見方をゴールドマン・サックス証券のエコノミストが示した》

 日本経済は不況に向かって一直線に突き進んでいる。つまり、収入が激減している家庭も少なくないわけだ。SNS上では「10万円の給付でも足りない」と悲鳴が上がっている。

 荻原氏は政府の生活支援策として「電気、ガス、水道の基本料金をゼロとする」ことを提案している。氏の試算によると、一世帯あたり月約7000円の政府支援に匹敵し、6か月間の実施に必要な財源は約2兆500万円だという。

「10万円の支給が決まったプロセスにも問題があると思います。報道では公明党が『連立離脱も辞さない』と安倍首相に詰め寄って実現したとのことですが、10万円の支給は、そうした政治的駆け引きが必要な政策ではありません。庶民の窮乏を考えれば、与野党が一丸となって決めるべき生活支援策です」(同・荻原氏)

 安倍首相は3月17日、自民党の両院議員総会で「強大な経済政策を大胆に練り上げていく」と胸を張った。

 この時点で実施が予定されていた30万円の給付は、複雑な所得制限が条件として課せられ、世論は反発した。

 結局、迷走に迷走を重ねて10万円の一律給付が4月17日に――奇しくも両院議員総会の1か月後だ――安倍首相の記者会見で発表された。

 荻原氏は「1か月という貴重な時間が失われたのは、本当に残念です」と指摘する。

「西村康稔コロナ担当相や安倍首相は『休業補償している国は世界に見当たらない』と説明しました。ですが、イギリスでは月給の8割を補償する制度が機能しています。フランスやドイツにも類似の補償を行っています。アメリカでは大人13万円、子供5万5000円の現金給付が始まりました。これに比べ日本は、10万円の支給でも右往左往です。『政府は結局、私たちに何もしてくれないのではないか』という国民の不安が更に強くなっていく可能性は否定できません」

 政府に期待できないとすれば、どうすればいいのか。荻原氏は「徹底して家計を切り詰めるしかありません」と助言する。

「私たちが支出を減らすと、その分、経済が縮小するのは事実です。しかし今後、日本経済は急激に、しかも相当な規模で悪化します。とてもではありませんが、庶民は自分の身を守るので精一杯となるはずですし、サバイバルを優先しなければ生きていけません。とにかくお金を使わないこと。極端なことを言えば、4畳半に引っ越して家賃を削減するくらいの生活防衛策が必要だということです」

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は1956年生まれの64歳。早稲田大学の商学部を卒業し、当時の安田火災海上保険式会社に入社した。

 そして2015年、SOMPOホールディングス株式会社グループCEO代表取締役社長社長執行役員に就任した。

 財界人としては申し分のない経歴なのだろうが、やはりその分、庶民の生活レベルを実感することは難しかったのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月19日掲載

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