経済同友会トップは「10万円給付は電子マネーで」発言の裏に“さもしい根性”が見え隠れ

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電子マネーで家賃は払えず

 4月16日、産経新聞(電子版)は「10万円給付歓迎『電子マネーでの給付が望ましい』経済同友会」(註:デイリー新潮の表記法に合わせた、以下同)との記事を配信した。短い記事のため、全文を引用させていただく。

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《政府・与党が新型コロナウイルス対策として国民1人あたりに10万円の現金を給付する検討に入ったことを受け、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は16日、報道陣の取材に応じ、「ほぼ条件をつけないで給付することは危機管理にスピードが必要なことを考えれば、いいことだ」と歓迎する考えを示した》

《同時に、タイムリーに配布することと、消費に活用されることが重要だとして、「電子マネーでの給付が望ましい」との考えを示した。現金給付ならば、貯蓄に回る可能性もあるが、電子マネーなら「消費力を維持するのにつながる」と強調した》

 この発言は、瞬時にして炎上した。特にネット上では、著名人の批判を紹介する報道が目立った。スポーツ紙電子版の見出しを引用させていただくと、以下のようになる。

◆「松尾貴史 10万円は電子マネーでと主張の経済同友会に『注文をつけるのはお門違い』」(デイリースポーツ:4月17日)

◆「茂木健一郎氏、経済同友会『電子マネー』発言に『お肉券とかお魚券とか、そういう亡霊が消えたと思ったら』」(スポーツ報知:4月17日)

◆「鈴木蘭々、経済同友会の“電子マネー給付”発言に憤り『マスク送るみたいに』『使えない店は…』」(スポニチアネックス:4月17日)

 ちなみに経済同友会とは、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所と並ぶ「経済三団体」とされる。各団体の特色を紹介した読売新聞の記事「[Q]経済3団体の関係は 運営面で連携傾向に」(18年10月27日)には以下のような記述がある。

《経済同友会は、企業単位ではなく、経営者や役員ら約1500人が個人の資格で参加する。個々の自由な意見が尊重される雰囲気が強い。政府と協調路線を取ることが多い経団連に比べて、物言う姿勢を重視している》

“物言う姿勢”を発揮したのかもしれないが、これだけ反発を招いては意味がないだろう。経済ジャーナリストの荻原博子氏も呆れ果てる。

「『この期に及んで、まだこんなことを言う人がいるのか』と驚きました。電子マネーは大都市圏の、ごく限られた場所でしか使えません。地方都市の個人商店は基本的に現金だけです。都市部でも電子マネーで家賃は払えません。全国民1人1人に10万円を給付する政策なのに、高齢者だと電子マネーは使えないでしょう。結局のところ、何とかして自分たちの商品を買わせようとする、さもしい根性が露呈してしまったのだと思います」

 新型コロナ問題が経済に及ぼすダメージは、悪化の一途を辿っている。NHK NEWS WEBは4月1日、「日銀短観 7年ぶりマイナス 大企業製造業の景気判断悪化」との記事を掲載した。

《日銀は1日、短観=企業短期経済観測調査を発表し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大企業の製造業の景気判断を示す指数は、7年ぶりにマイナスに落ち込みました。また、ホテルや飲食店の景気判断が急落して過去最低になり、景気の見方が急速に悪化していることが浮き彫りになりました》

 更にDIAMOND onlineは3日、「『日本の不況入り』を示唆した日銀短観、デフレギャップは深刻か」との記事を公式サイトにアップした。

《鹿野達史:三菱UFJ モルガン・スタンレー証券 景気循環研究所 副所長》の署名記事だ。タイトルさえ見れば、内容はおおよその見当がつく。

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