ピンハネ「レスリング協会副会長」続報 被害選手に“喋るな”の脅迫
これ以上喋るな
「仕方なく、先生からの呼び出しに応じたのですが」
当の藤波選手が、憤りを抑えながら振り返る。呼び出された甲府市内のデニーズに、ジャージ姿の高田監督がレクサスで乗りつけた。
「謝罪があるかと思いましたが違いました。自分の口を封じようとしてきたんです。“もうこれ以上喋るな”とか“今後は弁護士に任せていると言いなさい”と諭され、弁護士に一緒に会うよう説得もされました」
そして監督は、「ハチの巣」や「八つ裂き」といった文言で押さえ込み技を繰り出した。藤波選手がレスリング界から総攻撃を喰らうことを仄めかしたのだ。
「2時間ほど話しましたが、先生はその間何度も、“俺、脅してないよな”と言ってきました。“そうっすねえ”と応じましたが、八つ裂きとか言われれば、話を聞く気などなくなりますよ」
結局、監督は藤波選手を説得できず業を煮やして先に席を立った。被害者の耳には脅迫まがいの文言だけが残り、またもやパワハラが印象づけられたのである。
高田監督は人々の記憶に刻まれた存在だ。1976年モントリオール五輪で金を獲り、モスクワも連覇確実と言われていたが、日本は参加ボイコット。集会で男泣きした姿が、当時、大々的に報じられたものだ。
そんな“悲劇のオリンピアン”があまりにセコいピンハネとは……。3月19日号では「何か問題あるんですか」と強気だったが、今回は無言を貫き逃げ回るばかり。代わって夫人が、「夫は選手のことを思っていたのだと信じています」と言うのみ。やがて寂しきオリンピアン。
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