【コロナ禍】東京出張から帰ったら感染者扱い――地方に広がる予防策で夫婦の間に亀裂

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「県外から来た人は感染者」

 長野県のローカル紙である信濃毎日新聞は4月9日、サイト「信毎web」に「新型コロナ 県内新たに感染者5人 1日で最多」と報じた(註:引用は全角数字を半角にするなどデイリー新潮の表記法に合わせた。以下同)。

 記事には《県内での感染確認は19人になった》という記述もある。東京と比べれば、格段に少ない。

 こうなると、東京への出張者に対して、ニューヨークやイタリアからの帰国者と同じ印象を持たれても仕方がないのかもしれない。

「県内感染者の大半は、実際のところ、東京や大阪に行って感染した県民です。おまけに妻の周囲は、『この時期に東京へ行く身内なんていない』という人ばかり。長野の人たちがそう考えるのは、民放のワイドショーやテレビニュースが与える影響も大きいのではないでしょうか。地方局であっても、地元ニュースの時間は短く、キー局の放送が大半を占めます。長野県のテレビにも『【速報】都内、今日も新たに100人以上の感染が発覚』という感じでデカデカと報じられるわけですから、東京が非常に危険なところというイメージを持つ人が増えても不思議ではありません」

 この男性が、たまたま宇都宮市に住む知人と連絡を取り、妻の出勤自粛問題を話すと、「同じことは宇都宮でも起きているよ」と教えられたという。

「気がかりなのは、コロナ感染のリスクは議論しても妥協点が見つからないということです。『東京に数日滞在したくらい、どうってことないだろう』という人と、『今の東京には感染リスクがある』という人は、いくら議論しても平行線でしょう。私たち夫婦と同じように日本全体にも、ある種の断絶が生じてきているようで、それも気がかりですね」

「県外から来た人は感染リスクのある“危険人物”と見なす」という方針を、明確に示した自治体もある。日本経済新聞は4月7日(電子版)、「秋田県、来県者は2週間外出自粛を要請 感染拡大で」と報じた。

《秋田県は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、県外から来た人に2週間程度外出を自粛するよう要請した》

 こうした傾向は、全国で広がっているようだ。政治を担当する記者が言う。

「国会議員は平日なら東京で働き、週末は地元に帰って政治活動をするというのが基本中の基本です。ところが複数の国会議員が『地元の後援会から、今は感染が怖いから帰ってこなくていいと言われた』というグチを耳にすることが増えています」

 地方在住者が都民を“バイ菌”扱いするのはやむを得ないのかもしれないが、それを都民は肯定するのだろうか、あるいは猛反論するのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月14日掲載

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