慰安婦の守護神「挺対協」トップが国会議員に当確も“たまねぎ男”の二の舞か

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水曜デモの主催者

 慰安婦問題を巡る韓国内の世論を主導している正義記憶連帯の尹美香(ユン・ミヒャン)元理事長が4月15日の総選挙に出馬し、韓国国会に進出することが話題になっている。

 韓国通には今さら説明は不要だろうが、念のため、その横顔を紹介しておこう。

 尹氏は65年生まれで、韓神大学と梨花女子大学社会福祉大学院を卒業後、1992年から正義記憶連帯の前身である「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」で活動してきた。そう、挺対協だ。

 1990年11月16日、韓国教会女性連合会、挺身隊研究会、韓国女性団体連合など37団体が集まって結成された挺対協は、日本軍慰安婦の犯罪認定、真相究明、(日本)国会決議謝罪、法的賠償、(日本)歴史教科書の記録、慰霊塔と資料館の建設、責任者処罰などを主な要求事項としている。1992年1月8日から毎週水曜日に日本大使館前で、「日本軍慰安婦被害者たちの人権回復を求める水曜集会」(通称「水曜デモ」)を展開していることでも知られる団体だ。

 尹氏は、挺対協代表として活動していた2015年12月、日本の安倍晋三首相と朴槿恵前大統領との間で交わされた日韓慰安婦合意を強く糾弾した。尹氏は、慰安婦被害者らと共に慰安婦合意の無効を主張する水曜集会を開催。

 これには、文在寅民主党代表(当時)など野党側の大物政治家らが大挙して参加し、わずか一週間で、慰安婦合意に対する韓国世論は完全に反対に転じた。

 選挙の話に戻ろう。

 与党の「共に民主党」が作った比例選挙の衛星政党である「共に市民党」は3月24日、比例代表34人のリストを発表したが、ここに尹氏が名を連ねたのだ。

「現在の与党の支持率を考慮すれば、『共に市民党』の比例候補のうち、比例順位15位~20位までが当選圏だ。尹氏は7番目に名を連ね、当選が確実視される」

 こう教えてくれたのは、韓国政治に詳しい在韓ジャーナリスト。

 昨年12月、韓国国会は選挙法を改正し、「準連動型比例制」を導入した。簡単に言えば、比例47議席のうち30議席を各政党の地方区議席数と連動させて配分する方式だ。地方区議席を多く確保した政党には比例議席がほとんど割り振られず、地方区議席のない少数政党に比例議席が多く与えられるようになる。

 与党の『共に民主党』は「準連動型比例制」に反対する最大野党『未来統合党』を排除したまま、4つの少数政党と共に“4+1協議体”を構成してこの選挙法改正案をまとめた。

 ちなみに、『未来統合党』とは、かつてハンナラ党、セヌリ党、自由韓国党などの名前で活動していた政党で、李明博大統領や朴槿恵大統領など保守政権時代には与党として政権を支えた。文政権にとってはいわば宿敵ともいえる政党である。

『共に民主党』が、自分たちや『未来統合党』など大政党にとって不利となる「準連動比例制」を推し進めた理由は、文政権が進める司法改革法制を成立させるため。つまり、少数政党に有利な選挙制度改革を行う見返りに、文在寅大統領が進める、検察権限を大幅に縮小する司法改革案に賛成させたのだ。

 しかし、改正選挙法が通過するやいなや、合意から排除されていた『未来統合党』が比例議席確保のための“衛星政党”結成を宣言。比例用に新たに別の政党を作り、選挙後、その政党を吸収してしまおうという“脱法的”な戦略を発表したのだ。『共に民主党』は、即時に反発し、選挙法違反の容疑で未来統合党の黄教安(ファン・ギョアン)代表を告発した。

 にもかかわらず、選挙が近づいた3月、『共に民主党』は一転して自分たちも比例衛星政党『共に市民党』を立ち上げることを発表したのだ。

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