大阪で教員「処分歴」を自己申告制に わいせつ件数全国トップ、効果は

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 大阪府は令和3年度の公立学校教員の採用選考で、願書に「過去の懲戒処分歴」を記載する欄を設けることになった。

 本誌(「週刊新潮」)では、3月19日号で、児童へのわいせつ行為で5回も逮捕された大阪府の小学校講師のハレンチな行状を報じたが、処分件数で大阪は全国トップクラス。しかも、3年経てば文科省のデータベースにある処分歴は開示されなくなり、この男が懲戒免職になっても再び教員免許を取って教壇に立つことが可能だというから呆れてしまう。

「今回の措置は処分歴を自己申告させることで、わいせつ教師を“復活”させないようにするのが狙いなのです。願書に処分歴を記せば、当然、採用されるはずがないし、しらばっくれて採用に到っても、後でバレたら懲戒処分になると募集要項に明記してあります」(大阪府教育委員会の関係者)

 果たして、これで問題エロ教師の跋扈(ばっこ)を阻止できるのだろうか。

「大阪府内だけなら一定の歯止めになるかも知れませんが、根本的な解決にはならないでしょう」

 と話すのは、性犯罪被害に詳しい上谷さくら弁護士である。

「教員免許は全国どこでも通用しますから、処分歴があっても大阪府の隣の奈良県では再就職できる。もちろん、兵庫でも、京都でも同じことです。名前も結婚相手の苗字に変えてしまえば、まず分かることはありません。3年後に再び教員免許を取り、大阪に住みながら隣県に通勤すればいいだけのことです」

 アメリカではフロリダなどの州で、刑期を終えてもGPSで追跡可能にするなど、性犯罪者の個人情報保護には厳しい制限をかけている。

 対する自己申告制。事前にチェックしましたという行政側のアリバイ作りになりはしないか。むしろ、大阪府のアイデアは問題エロ教師を全国に拡散させてしまうだけではないか。

週刊新潮 2020年4月2日号掲載

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