コロナ休校で話題の「蘇」 効果は? 帯広畜産大教授に聞く

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「最近、地元の新聞やテレビ局だけでなく、フジテレビからも“ソって何?”と、取材依頼がありましたよ」

 と言うのは、国内外の乳文化がご専門という帯広畜産大学の平田昌弘教授。

「ソは蘇と書く、牛乳を煮詰めて固形化した乳製品です。由来は千年以上も遡り、飛鳥時代には乳文化が大陸より伝わって、飛鳥から平安時代にかけて日本で独自に発達しました。厳密には“煉乳の祖先”のことですが、いま、SNSやYouTubeで様々なレシピが紹介されているほどの人気と聞かされました」

 ブームのきっかけは、全国小中高校の一斉休校の影響で、給食用の牛乳が大量に余り始めたこと。廃棄はもったいないとの声から、大量の牛乳を必要とする蘇に注目が集まったという。

「いまとは違って平安時代は牛乳も庶民には縁がなく、蘇を口にできたのは藤原氏を始めとする貴族だけという高級食材でした」

 北に比叡山を望み、東西には鴨川と桂川が流れる雅な平安京。当時の主・醍醐天皇が編纂させた法令集「延喜式」には、〈作蘇之法、乳大一斗、煎得蘇大一升〉と製法が記されている。

 ここでいう大一斗は現在の約7・2リットルに、大一升は0・72リットルに相当。つまりは体積が10分の1に減るまで煮ればいいわけだ。

「数年前に2リットルで作ってみましたが、沸騰したり焦げたりしないように超弱火で4~5時間以上も攪拌し続けるハメに。それでできたのは僅かで……」

 確かに手間はかかるが、栄養素が凝縮した“エナジーフード”ではあろう。

「コロナウイルスに効くとは言いませんが、人体の免疫力や抵抗力の向上にはプラスだと思います」

 すでに一部地域では商品化もされている。買うか、作るか、あなたはどっち?

週刊新潮 2020年3月26日号掲載

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