森雅子法相の「検察官逃げた」騒動 答弁の裏にある成功体験

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 ニュースを見てぶったまげた人もいたのではないか。何せ、現職の法務大臣が検察官を“逃げ出した”と罵ったのだから。

 目下、黒川弘務東京高検検事長の定年を恣意的に延長したと野党の追及を受ける安倍政権。3月9日の参院予算委員会で、所管大臣として経緯などを問われた森雅子法相(55)が、突然、

“東日本大震災の時、検察官は、福島県いわき市から最初に逃げた。その時、拘束している十数人を理由なく釈放した”

 と答弁したのだ。後になって発言を撤回するも、野党は反発。

 そもそも“検事が逃げた”は本当なのか。

「確かに原発事故の際、福島地検は“避難”のため、勾留していた窃盗や強制わいせつの容疑者31名を急遽釈放。しかし、中にはその後、再犯に及んだ者もおり、法務省は福島地検の検事正を事実上の更迭にしました」(政治部記者)

 ここに森氏の関与が。

「震災直後の通常国会で、この件について、当時の民主党政権を徹底的に追及したのが森さんだった。福島は彼女の地元でもあり、周りから見事な追及だと褒められたこともあって、成功体験になっていたのです」

 ところが問題は、今回の答弁が質問と全く噛み合っていなかったこと。

「実は、あの答弁の前に、彼女は法務省の国会担当職員に頓珍漢な相談をしているんです。なんでも“東日本大震災のような緊急事態が起こった時には、定年延長という運用もありうる”と答えてよいかというものだったとか」

 森氏の頭には“緊急事態”として、新型コロナウイルス騒動があったのかもしれない。しかし、

「政府は定年延長を、コロナはもとより“緊急事態”を理由に決めたワケではありません。職員は当然、止めたのですが、一連の発言が飛び出してしまった。森さんは民主党政権時代の検察不祥事を持ち出して防戦しようとしたのでしょうが、自民党も法務省も頭を抱えていますよ」

 今や逃げ出したいのは、ご自身の方かも。

週刊新潮 2020年3月26日号掲載

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