東京五輪は“2022”に? コロナ延期に備えNHKが編成変更へ 中止の損失は7・8兆円
間近に迫った「東京五輪」がピンチである。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長がこれまでの強気姿勢を一変させ、アメリカのトランプ大統領が「1年延期」に言及したことで通常開催が危ぶまれているのだ。中止や延期となれば大混乱に陥るのは必至――。
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今月13日、宮城県にある航空自衛隊松島基地の上空に五輪が浮かんだ。ブルーインパルスがカラースモークで描いたものだが、やがて風に散るはかない五つの輪は、「東京2020五輪」が置かれている目下の状況を象徴するかのようだ。
ここへきて急に大会の「中止・延期」が現実味を帯び始めた背景には、2人の人物の発言がある。まず、「中止・延期」の決定権を持っているIOCのトーマス・バッハ会長。12日(日本時間13日)、ドイツの公共放送ARDのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中に広がる中での五輪開催の可否について、
「世界保健機関(WHO)の助言に従う」
と、述べたのだ。
奇しくも同じ日、アメリカのトランプ大統領もホワイトハウスで記者団に対して次のように語った。
「無観客で開催するよりも1年延期する方が良い選択肢だ」
これを受け、安倍晋三総理はトランプ大統領との電話会談で、あくまで通常開催を目指すと表明。橋本聖子五輪担当相が「IOCも大会組織委員会も延期や中止は一切検討していない」と述べ、東京都の小池百合子知事も「中止の選択肢は全くない」などと強調し、トランプ発言の“火消し”に回ったが、東京五輪を取り巻く「空気」がガラリと変わったのは明らかだった。
「ウチの社は近々、通常開催が見送られた場合についての検討に入るようです」
そう囁くのは、NHKの関係者である。
「今年の開催がなくなれば、番組編成上、非常に大きな穴が開く。その穴をどうやって埋めるのかを検討する会議が間もなく行われると聞いています」
実際に通常開催が見送られた場合、どうなるのか。
「オリンピックとはそもそもオリンピアード(連続する四つの暦年からなる期間)の1年目に開催されるもので、『年をまたいでの延期』という概念はないのが本来のスタンスです」
と、元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏は語る。
「東京五輪の開催都市契約には、大会が中止になった場合、『IOCは損失分を負わない』と明記してある。また、大会1回分の放映権料は約1200億円ですが、テレビ局としても今後の付き合いを考えれば全額返金要求とはならないでしょう。だからこそ、中止という可能性もゼロではないのです」
SMBC日興証券の試算によると、中止の場合の経済損失は約7・8兆円。また、東京都はこれまでに1300億円以上を支出して六つの新設競技会場を整備したが、その中で大会後の年間収支で黒字を見込んでいるのはバレーボール会場の「有明アリーナ」のみ。残る5施設は年々、赤字を垂れ流すことになるのだ。
かような事態となれば国難どころか国が傾きかねない。その「中止」よりは傷が浅くて済むと見られているのが「延期」である。
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