新型コロナのPCR検査、実は感染者の3割はすり抜ける

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 現状、新型コロナを検出できるのは、PCR法と呼ばれる検査法しかない。しかし、今の日本の体制では1日約6200件に留まる。そのため、「検査難民」が多数発生し、「早く診断してくれ!」と、嘆きの声が生じているのは周知の通りだ。

 更に、そこに冷や水を浴びせるかのような指摘も。やっとのことで検査に辿り着いたとしても、感染者の3割が「陰性」としてすり抜けてしまう……。

「その数字なら、むしろ上出来と言えるでしょう」

 と認めるのは、元小樽市保健所長の外岡立人氏。

 例えばHIVのスクリーニング検査では、感染者が「陰性」と判定される率は、0・1%程度。それと比べれば、精度はわずか300分の1である。

 PCR法では、対象者の粘膜から検体を採取し、その遺伝子を増幅させ、ウイルスを特定する。が、一定の「検出感度」を超えた数の遺伝子がないと、保有していても「陰性」とされてしまう。

 加えて、

「検体の搬送にも注意が必要です」

 と、国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)。

「運搬の際に十分に冷却した状態でないと検体の状態が悪くなり、検出されなくなることも。また、検体採取の際、喉に棒を突っ込まないといけないので、対象者は咳き込むこともある。それがかかるのを恐れて医師が恐る恐る取ったりすると、十分に喉を拭えず、陰性となることもあるのです」

 この検査は、診断料を含めて2万円近くするなど高額。政府は保険適用を決め、自己負担分も全額補助される。公費や保険料への負担は膨大だが、それでも過度な期待は禁物なのである。

週刊新潮 2020年3月19日号掲載

特集「『コロナ禍』に今なお7つの疑問」より

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