レスリング協会副会長が強化費をピンハネ、選手が実名告発 栄和人氏から圧力も

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 またもスポーツ界、しかもレスリングでの不祥事である。日本レスリング協会副会長兼専務理事の高田裕司・山梨学院大学監督が、教え子の強化費をピンハネ。そこには、あの栄和人氏の影もチラついて……。被害選手が独占告白する。

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「私が経験したことは今後レスリング界で二度と起きて欲しくない。そう思っているだけです。この世界は上の決定には絶対に逆らえない。だからといって若い選手のお金を横領するようなことを平気でやる、それが許されていいのかと……」

 重い口を開くのは、世界選手権3位(2017年)などの記録をもつ藤波勇飛(23)である。東京五輪の代表候補筆頭と目されたが、昨年12月の全日本選手権で敗れ、惜しくも出場は逃した。現在ジャパンビバレッジに所属している彼は、昨年3月まで山梨学院大学に在学し、高田監督から指導を受けてきた。

 藤波が続ける。

「私はレスリングの特待生として山梨学院大に入り、入学金と授業料免除の他、月10万円を支給される優遇措置を受けていました。強化費とか栄養費と呼ばれる類のものです」

 しかし入学直後に“お前に全額渡すと使ってしまうから、オレが毎月4万円分を預かっておく”と告げられ、高田監督に銀行通帳も印鑑も取り上げられてしまったという。月10万円の支給のうち、6万円が手渡しされる形となった。

 ところが、卒業後も金が戻ってこない。不審に思った藤波が高田監督に問い合わせたところ……。昨年8月頃のことだ。

「監督は、“カネはない”と言って、私の通帳や印鑑は何処ですかと尋ねても、“捨てたかなぁ”と曖昧な返事でした」

 困った藤波はレスリング関係者らに相談をもちかけた。するとどこかでこの件を耳にしたのか、伊調馨へのパワハラ騒動でおなじみの栄和人氏から“金の話はやめておけ”という主旨の電話があったという。ちなみに、藤波は子供の頃に至学館で練習をしていた関係で、レスリング部監督の栄氏とは面識がある。

 栄氏の口調は温和ながら、

〈オレがちょっとでも間に入ってんだから、オレに恥をかかせたら、オレも承知しないっていうか〉

 なんて追い込みもあったそう。藤波は「私が逆らえないであろう人まで使って口を封じようとするのはおかしいと感じました」と振り返る。

 最終的には藤波の父が高田監督に掛け合い、昨年12月、預けた分が現金で返ってきた。強化費から充てることになっていたトレーナー費を除いた150万円で、返金額に問題はない。ただし高田監督に預けていた銀行口座の出入金記録を参照すると、そちらの残額はほぼゼロになっていることが判明。この点について監督から説明や謝罪はなかったそうだ。

 じつは藤波は、昨年6月に交際していた女性との間に子供を授かり、入籍している。取材に応じた高田監督によれば、返金を拒んだ理由はこの点にあるようだ。

「大学4年で子供を作ったから、本当はクビにする予定だった。運動部の特待生で許されますか、常識的に考えて。それなのにカネを返せって言われれば怒るでしょう」(高田監督)

 残高ゼロになっていた口座については「預かっていたカネだから、どう使おうが勝手じゃないですか」と開き直る。一方の栄氏は、電話は藤波への激励だったと説明し、

「書けよぉぉ! 関係ないって、本当にぃぃ!」

 と記者に向かって絶叫。3月12日発売の週刊新潮では、またもレスリング界に勃発した不祥事について詳しく報じる。

週刊新潮 2020年3月19日号掲載

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