原監督も反対、日本球界に現役ドラフト導入 メジャーとは大違いの制度

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〈「現役ドラフト」NPB案に原監督は断固「NO」〉

 2月20日付夕刊フジの見出しはいかにも禍々しいが、目下、現役ドラフトなるものに球界の耳目が集まっている。

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 スポーツ紙デスクが語る。

「他球団に移れば活躍できる実力を持ちながら飼い殺しされている選手を救済するため、メジャーでは現役ドラフト制度があります。そこで“日本も導入を”と選手会が提案しました」

 メジャーでは、野球殿堂入りを果たしたロベルト・クレメンテをはじめ、多くの選手が現役ドラフトによってブレイクを果たしている。日本では、“巨人から日本ハムに移籍し活躍している大田泰示のようなケース”や、“阪神で燻っている藤浪晋太郎の再生”をイメージしているという。

 だが、選手会の要請を受けて、今年1月に日本野球機構(NPB)が出した案は、メジャーとは似ても似つかぬ制度だった。

「大きな違いは三つ。メジャーの場合は40名の契約枠に入っていない在籍年数4年以上(19歳未満で入団の場合は5年以上)の全選手が指名対象ですが、NPB案は各球団が選んだ8人のみ。これでは要らない選手の押し付け合いになり、大田や藤浪のようなビッグネームは俎上に載りません」

 二つめの違いは“強制力”である。

「メジャーでは、指名した球団が元の球団に移籍金を払った上、その選手を翌年1軍で使い続けなければなりません。しかし、NPB案が球団に課しているのは“最低1人指名しないといけない”というだけで、その選手を移籍先が再び飼い殺しにしても構いません」

“時期”も、メジャーはシーズンオフの12月に行うのに対して、NPB案は何とシーズン途中の7~8月だ。

「結局、オフに行っていた戦力外通告の時期が前倒しになるだけです」

 これでは原監督ならずとも“NO”だろうが、

「以前はストも辞さなかった選手会も今やすっかり弱腰。NPB案つまり経営側に従うしかありません」

 立派な理念とは程遠い骨抜きの改革案は、今夏に実現する可能性が大だという。

週刊新潮 2020年3月5日号掲載

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