“愛子天皇”議論、安倍政権の本音は「先送りしたい」 80%賛成の世論を敵に回せず

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「愛子天皇」議論を闇に葬った安倍官邸(1/2)

 天皇陛下はさる2月23日、めでたく60歳になられた。長女・愛子さまは学習院大進学が決まり、4月には秋篠宮さまの立皇嗣の礼も控えている。一方で「皇位継承の安定」に向けた議論をようやく始める安倍政権。が、その実態は、世論の大勢を葬る“愛子天皇潰し”に他ならない。

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 お誕生日に先立ち、陛下は21日午後、赤坂御所で恒例の記者会見に臨まれた。宮内庁担当記者が振り返る。

「御代替わり後初めての会見でもあり、今回は我々のほか、在日外国報道協会など三つの記者クラブ合同で行われました。質疑で『望ましい皇位継承のあり方』について問われた陛下は、『制度に関わる事項については、私から言及することは控えたい』とお答えになりました。昨年2月、皇太子さまとして臨まれた最後の会見でも皇室の将来像について質問が出たのですが、その際に述べられたお答えを引き継ぐ形となりました」

 会見ではご家族についても話題が及び、ちょうど当日、学習院大から愛子さまの文学部日本語日本文学科の合格通知が届いたことも明かされた。

「陛下は愛子さまの将来についても『自分のやりたいことを見つけ、成年皇族としての公務とのバランスを見出しながら将来への希望を描いていってもらえれば』と、期待を寄せられていたのでした」(同)

 ところで、その愛子さまの将来にも大いに関わってくるのが、平成の代から積み残された「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」についての議論である。

「上皇さまのご退位を実現する『特例法』は2017年6月に成立しましたが、その諸課題とともに『女性宮家の創設』などにつき、すみやかに検討するよう政府に求める付帯決議が盛り込まれていました。ところが、昨年3月に国会で菅官房長官が『(議論開始は)そんなに時間を待たないで』と答弁したにもかかわらず、遅々として進まない。一連の即位の儀式が終わった秋には、ともみられていましたが、具体的に何の動きもないまま現在に至っているのです」(全国紙デスク)

 安倍政権では元来、首相を筆頭に“皇室の伝統である男系男子を維持すべき”“女性宮家創設は女性・女系天皇容認への入り口となりかねない”といった考えが根強く、さる官邸関係者によれば、

「このまま何もせずにやり過ごし、次世代へと先送りしたいというのが政権の本音です。まして悠仁さまもまだ13歳。本格的な議論は数十年後で間に合うのでは、といった雰囲気が官邸では支配的なのです」

 とはいえ、これまで各社の世論調査をみれば「女性天皇に賛成」と答える人がおしなべて80%に至るのが現実である。

「総理は、世論の動向にことさら神経を尖らせています。例えば昨年“年金以外に老後は2千万円必要”との試算が明るみに出て内閣支持率が下がるなど、世間の反発を受けましたが、そのことで最終的には衆参ダブル選を思い止まることにもなりました」(同)

 今回も、いかに自分と正反対の意見とはいえ、

「世の8割を向こうに回すのはさすがに脅威と捉えています。かといって、妥協策として歴史上前例のある『女性天皇』に限って理解を示しても、従来の政権支持層である保守派が黙ってはいない。どちらにしても摩擦を生むのは必至で、静観を決め込むのが得策だと早々に判断したわけです」(同)

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