イケメンもツライよ? ショートコント的カッコよさを強いられる横浜流星の受難

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今季ドラマの佐藤健と比較して思う横浜流星の受難

 今季の「ショートコント、イケメン」枠で言うと、「恋はつづくよどこまでも」の佐藤健も当てはまる。ドS・エリート・白衣という、これまたイケメン要素の3点セット。実は甘党というギャップ萌えも含まれたお徳用セットである。ツンデレな言動でヒロインを翻弄する佐藤の役は、実に漫画的というかリアリティがない。でもだからこそ、佐藤が割り切ってやっているのがよくわかる。例えるならROLANDやGACKTのように、ナルシストぶりを誇張することで過剰な自意識を笑ってもらうというやり方に近い。求められた役割に徹するそのプロ意識が、さらに好感を呼ぶというサイクルだ。

 そう考えると横浜の演技には、なぜか居心地の悪さを感じる。クールガイという枠からは決して外れようとしない。きっと自分のカッコよさも十二分に理解している。でもどこか、それこそ客寄せパンダのような立ち位置の自分を、冷静に見ている自意識を感じるのである。

 ただしイケメンに限る、とは無敵の言葉だった。でも今や、ただのイケメンでいることはツライのかもしれない。本人の葛藤はよそに、「イケメン〜」とおだてられて客前に出されることを繰り返すのは、まさに動物園での「パンダかわいい〜」と同じ消費のされ方である。見世物としての可愛さ。シロにもクロにも転べないイケメン枠の中で、自分の立ち位置を一番せせら笑っているのは横浜自身ではないかとさえ思う。そう考えると「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」とはいろいろと考えさせられるタイトルである。

 かつてのジャニーズなら、ここらで奇人変人の役をあてがい「演技派」とか「ひと皮むけた」と言わせる奇人変人ロンダリングをするだろう。パンダも愛らしい姿だが実は凶暴な一面もあるという。横浜の凶暴な一面が見られる役は、この先いつ来るのだろうか。

(冨士海ネコ)

2020年2月20日掲載

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