森喜朗元首相のレガシー財団「誰から誘われたのか」口を濁す関係者たち

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「誰から誘われたのか」

 新財団の評議員となる予定の組織委の武藤敏郎事務総長に聞くと、

「遠藤さん(※理事長に就くとされる遠藤利明元五輪担当相)がやるのでよろしくっていう話はありました。それだけ。だからどんなものになるのか詳しくは聞いてないの。そのうち聞けるんだろうとは思うんだけれど、今は聞いてない。まだそこまでの状態になってないんじゃないかな」

 そう話すので、誰から“遠藤さんがやるのでよろしく”と声をかけられたのかを問うと、

「知らない」

 と、ごまかす。

 理事候補となっている味の素の伊藤雅俊会長にも、誰から誘われたのか聞いたが、

「ちょっとそれも……。まぁ、(日本)スポーツ協会の会長をしていますからね。その流れで。まあ、同じような団体がありますからね」

 やはり口を濁すのだ。

 評議員候補として名前が挙がっている日本財団の尾形武寿理事長にも同様の質問をしたところ、

「えーと、関係者とでも。その人の名前ってのは、私、別に隠すつもりはないのですが、まだ漠とした話なので。別に私は隠しているわけではなくて、その程度の話しか聞いていませんので」

 皆、一様に「誰から誘われたのか」を明かそうとしないのである。一方、新財団の関係者に、財団の設立は森会長が中心になって行われるのかどうか問うと、

「あー、たぶん」

 と認めた上で、新財団が五輪の剰余金の受け皿となる可能性についても、

「あるかもしれません」

 そう言うのだ。

 スポーツライターの玉木正之氏は、

「私は五輪後の『レガシー』を扱う組織、団体を作ることは否定しません」

 としながらも、

「ただ、そもそも森さんは組織委の会長を2018年で辞めるという旨の発言をしていたにもかかわらず、未だに続けている。そんな人が五輪後の『レガシー』までやると言い出しているわけでしょ? 『レガシー』自体は大事なことだけど、森さんが一体何をしたいのか、首を傾げざるを得ませんよ」

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏も憤慨する。

「今回の五輪は最初から最後まで森さんの独断専行型の企みが底辺にあった。そういう流れの中で、今度は五輪後の『レガシー』を謳って新財団の設立ですか。もういい加減にして欲しい。お金の流れを曖昧にしたまま、五輪後の剰余金を好き放題に使うなんてことは絶対に許されない。それこそ森さん自身が『負のレガシー』。これ以上その『負のレガシー』を継承し続けてはいけないのです」

 新型肺炎が五輪に与える影響も心配だが、その前にまず森会長を“封じ込める”必要がありそうだ。

週刊新潮 2020年2月13日号掲載

特集「『巨大利権』の悪巧み! 狙いは『東京五輪』剰余金ウン百億円!? 『森喜朗元首相』の新財団は『負のレガシー』」より

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