東京五輪の剰余金数百億円が森喜朗元首相設立の「謎の財団」に呑み込まれる

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「森ファミリー」を揃えた

 手元に、本誌(「週刊新潮」)が文科省関係者から入手した内部資料がある(掲載の写真参照)。その中の〈一般財団法人日本スポーツレガシー・コミッション組織(案)〉と題する文書には、〈最高顧問〉として〈森喜朗〉とはっきり明記されているのだ。その他には、〈評議員〉として自民党の馳浩元文科相や組織委の武藤敏郎事務総長の名もある。〈会長〉は河村建夫元官房長官で、〈理事長〉は遠藤利明元五輪担当相。〈理事〉としては、日本スポーツ協会(JSPO)の会長を務める「味の素」の伊藤雅俊会長や日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長、「ラグビーワールドカップ2019」大会組織委員会役員の河野一郎氏などの名がある。

 事情を知るスポーツ団体関係者が言う。

「この財団の評議員、役員候補の顔ぶれは『森ファミリー』をフルキャストで揃えた、という印象ですね」

 別の文書には、財団設立の〈目的〉として、

〈人類共通の文化であるスポーツが、人類社会が直面する諸問題の解決に貢献する大きな力を有しているとの認識のもとに、スポーツに関わる多様な主体による連携・協働を促し、スポーツの普及・振興に関する調査、研究、提言を行うとともに……〉

 などと記されているが、それを読んでも財団設立の目的はさっぱり分からない。

 同じ文書によると、財団の〈設立者〉は〈一般財団法人嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター〉(以下、嘉納財団)で、そこが財団設立のために300万円を拠出するという。

「この嘉納財団は2009年に設立されたもので、何をやっているのか全く見えないブラックボックスのような団体です。『2016年五輪』の招致活動のために設立され、『2020年東京五輪』の招致活動にも関わったと囁かれています」(スポーツ紙記者)

 要は、何をやっているのかよく分からない謎の団体が母体となり、新たな謎の団体が生まれようとしている、というわけだ。

「2月5日に嘉納財団の理事会を開催して新たな財団への財産の拠出などについて決議。その後、新財団の会議を行い、役員の選任などが行われます。その場には森さんや遠藤さんも顔を見せます」(先のスポーツ団体関係者)

 なるほど、まさに「現在進行形」で設立の準備が進められているのである。

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