苦境の日高屋が「ちゃんぽん専門店」をオープン、リンガーハットの独壇場を切り崩せるか

ビジネス 企業・業界 2020年2月5日掲載

  • ブックマーク

「日高屋」を展開するハイデイ日高(本社/埼玉県さいたま市、代表/高橋均)が新業態として「ちゃんぽん菜ノ宮」(以下、菜ノ宮)を昨年12月にオープンした。場所は、JR大宮駅西口から徒歩15分ほどの国道17号線のロードサイドだ。95%が駅前立地という同社にとっては珍しいことだ。その狙いは?

「働き方」改革で「ちょい飲み」が減少

 まず、「日高屋」の現在の動向について述べる。

「日高屋」の既存店の業績は芳しくなく。2020年2月期(2019年3月~2020年2月)では、19年3月度から11月度まで前年同月比で100%を割り込んでいる。

 2020年1月10日付の『日経MJ』の「2020トップに聞く」というコーナーでハイデイ日高の高橋均社長がインタビューに答えていた。この既存店の動向についてこう述べている。

「働き方改革によって、ちょい飲み需要が減少して、夜11時以降の入店客数がガクッと減った。ほとんどの店で営業時間を短縮している。都心のオフィス街立地に強かったが、働いた後に立ち寄るサラリーマンの需要が減っている」

 売上げが100%を割っている要因をこのように認めており、その対策として消費増税があった10月には、「餃子(6個)」(税込230円)の価格を据え置いてのぞんだ。

「これによって餃子が18年11月と比べて売上が2割近く伸びた。このほか生ビールなどの定番メニュー4品の価格据え置きは客数回復に効果があった」

 実際、19年11月の既存店売上高は前年比-0.2%にまで回復。「低価格に挑戦したことが売上回復の要因」ということになるだろう。

 先の記事の中で「菜ノ宮」をオープンしたことに関してはこう答えている。

「得意としてきた駅前立地、低価格、長時間営業のビジネスモデルは転換期を迎えてきている。専門性のある業態を展開していく。昨年のちゃんぽん専門店に続き、今年中に中華そばの専門店と餃子の専門店を開く予定」

「餃子は若い人や女性に人気のメニューになっている。これまで取り込めなかった女性が食べやすいメニューの開発も進めていく。安いだけでなく、おいしさで付加価値を高める」

「日高屋」が一都三県にこだわるワケ

 外食で「ちゃんぽん屋さん」と言えば「長崎ちゃんぽん リンガーハット」(以下、リンガーハット)の独壇場だ。ここで「リンガーハット」と「日高屋」を比べてみる。

「リンガーハット」は2019年2月末に686店、同社ではほかにとんかつの「とんかつ濱かつ」など112店舗を展開し、総店舗数で約800店となっている。そこで売上高は約470億円で営業利益率は6.3%(2019年2月期)、1店舗あたりの年商は5875万円となる。

 一方の「日高屋」は同じ2019年2月末に約420店舗で売上高420億円、営業利益率は11.3%、1店舗あたりの年商は1億円となる。

 数字上では「日高屋」の方が「リンガーハット」よりも生産性が高い。

 店舗の布陣で比べると、「リンガーハット」は全国展開しているのに対し、「日高屋」は関東圏のみで、しかも東京都211店舗、埼玉県108店舗、神奈川県70店舗、千葉県49店舗(2019年年12月末)とほとんどが一都三県である。

 なぜ日高屋は関東圏に集中しているのか。その理由は高い売上高が見込める立地であることに他ならない。そして、工場が埼玉県行田市の1カ所のみにあるからだ。

 そこで現在のクオリティを維持しながら全国展開を進めるのであれば、工場を他のエリアにつくる必要がある。地縁のないエリアに進出することは非常にリスキーだ。そこで、既存のエリアにこだわりながら、既存の日高屋の商品の生産ラインを活用して、工場の稼働率を上げる、という作戦に出たものと筆者は考える。

次ページ:「ちゃんぽん」メインにメニューを絞り込む

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]