「神村学園通信制問題」父母たち語る後悔 砂浜で練習、“本田圭佑が応援”も嘘

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本田圭佑が応援?

「彼が不在の時は、子供たちだけの自主トレになるから、万が一の時はどうするのかと。専用グラウンドもなく、砂浜で練習をすることもありました」(前出・原告の島根県在住の男性)

 センターのパンフレットには天然芝のグラウンドを完備した県立の運動公園を利用するとある。日韓W杯の際には、イングランドの代表チームが使用したという触れ込みだったが、週末の使用申請は抽選制で、当選確率を上げるため、センターが遠方の保護者を駆り出すこともあったのだ。

 改めて島根の男性が訴える。

「保護者らが何度改善を求めても、センターは取り合ってくれませんでした。相談した弁護士の先生には、ほとんど詐欺だと言われて提訴に踏み切ったのです」

 元日本代表FWで、日本サッカー協会顧問を務める釜本邦茂氏が断じるには、

「神村学園は、サッカー王国といわれる鹿児島県を代表する学校だと思うけれど、サッカーをダシに通信制の施設まで作って選手を集めるのは如何なものか。通信制が悪いわけではないが、勉強もサッカーもちゃんとやっていなかったのなら、それは詐欺ですよ。学園の名前を汚していますね」

 訴状によれば、入学金を含めた初年度の費用は150万円以上にも及ぶ。反省すべき学園は、今なお淡路のセンターで生徒を募り、栃木にも同様のセンターを新設する予定である。もはや教育とビジネスを履き違えているとの誹(そし)りも免れまい。

 裁判沙汰になってから、学園側はようやくセンター長を上船監督から別の人物に挿(す)げ替えたが、今後もサッカーの監督として従事させるという方針を崩さないのだ。

「騒動後も上船監督は、反省するどころか元日本代表の本田圭佑から応援メッセージを貰ったと周囲に吹聴する始末で、退学した生徒や保護者に直接の謝罪はしていません」(地元関係者)

 ならばと、「週刊新潮」が本田選手の事務所に確認すれば、

「メッセージのやり取りはありましたが、応援と言える内容ではありません」

 もはやレッドカードを何枚出しても足りないくらいだが、これらの指摘に当のセンター側はどう答えるか。

 まずは上船監督に聞くと、

「勉強は大事だと言っていましたし、騙そうとしたつもりはありません。生活面で行き届かなかった点については反省しています」

 と言葉少なに述べるのみ。代わって、神村学園の神村裕之理事長が言う。

「転校した生徒・保護者の皆様には大変申し訳なく思っております。ご指摘の件は互いに認識の違いがあったと思います。たとえ厳しい生活でも、志が高い子なら凌いでくれると考えていた。今後は和解に向けて誠意ある対応を致します」

 訴えた保護者らは和解に応じる意思はないそうで、提訴された法廷でのキックオフは避けられそうもない。

週刊新潮 2020年1月30日号掲載

特集「これは教育か!?  強豪『神村学園』がレッドカードの淡路『サッカービジネス』」より

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