被害者のはずが一転「容疑者」に…悪質求人サイト詐欺にご用心!

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ドスの利いた声で

 彼らの用意周到ぶりを示すのは、郵便物の引き受けを記録する特定記録郵便の使用である。

「無料での申し込み後、申込者にダイレクトメールのような形で郵便が届きます。表面はチラシ広告のような体裁で裏面に小さく“解約する場合はアンケートを返送するように”といった内容が書かれています。しかし、広告に見せかけているので捨ててしまうことが多い。特定記録郵便で送られているので、業者はこれを盾にして、更新意思を確認していると主張するのです」(同)

 実際、54万円を請求された別の被害者はこう語る。

「請求書を見て、電話すると“アンケートを送り返していないので自動更新となりました”と言う。そんなの届いていないと抗議すると、確かに特定記録郵便で送られていたのです」

 さらに悪質なのは、詐欺について注意喚起するだけで刑事告訴されることである。

 先の山田さんは、48万円の請求を拒否したが、

「同様の被害に遭わぬようにと、私が騙されたサイトに掲載されている企業に“自動更新だから気を付けた方がいい”とメールなどで注意喚起したのです。その間も業者からはドスの利いた声で“絶対払うことになるからな”と支払いを要求されていました。すると昨年9月、企業へのメールが信用毀損にあたると業者が刑事告訴した旨、警察から知らされたのです」

 告訴を受け、事情聴取もされることに。

「警察署で調書の確認や指紋採取、写真も撮られ、犯罪者扱いです。いまは検察の判断を待っているところで、警察からは不起訴になるのでは、と言われていますが、不安でたまりません。有罪になったら会社を辞めるつもりです……」(同)

 普通の会社員を襲ったあまりに突然すぎる展開は悪夢と言う他ない。

 では、その対策は。

「無料でもビジネスですから、儲けを生む仕組みが隠れています。注意深くならなくてはなりません。また、理不尽な請求が来たらすぐに弁護士に相談すること。内容証明を送っても数万円で済みます」(高良弁護士)

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、こう言う。

「言った、言わないとならぬよう、怪しいなと思ったら、今はスマホで音声を簡単に録音できます。また、音を録る、と相手に言うだけでも有効でしょう」

 まずはタダより高いものはない、という月並みな教訓を胸に刻んでおくことだ。

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

ワイド特集「『初夢』『正夢』『悪い夢』」より

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