ゴーン逃亡劇で日本は悪者か、欧米メディアの見方を「デーブ・スペクター」が解説

ビジネス 2020年1月20日掲載

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“手記”と“映画”の制作が進行中!?

 レバノンでの会見が行われる前は、「政治家の名前が暴露されるのではないか」と、日本でも高い関心を集めていたが、結局のところゴーン被告は、「レバノン政府に迷惑をかけたくない」として名前を伏せた。

 ゴーン被告が「ルノーと日産の合併を阻止するために日本政府が動き、日産社内のクーデターを検察が応援した」と訴えているのは前に見た通りだが、デーブ氏も「耳を傾けるべき主張だと思います」と理解を示す。

「特捜部の立件対象は、全て日産社内で解決できるものばかりです。日産の調査でゴーン氏の不透明な金の流れを明らかにした上で解任し、民事訴訟で返還請求をすれば済む話でしかありません。しかし、ルノーと日産の間で行われていたことは、日本政府とフランス政府の戦争であり、ロッキード事件級のスキャンダルだったはずなのです。この問題を追及しない日本の野党には、強い失望を覚えているほどです」

 会見で政治家の名前を暴露しなくとも、手記に書く手はある。それが映画やドラマ化されれば、ゴーン氏には巨万の富が転がり込むかもしれない――こうした観点での記事も頻繁に報じられている。

◆「ゴーン被告、ネットフリックスと独占契約 仏紙報道」(朝日新聞デジタル:1月3日)

◆「ハリウッド関係者と面会 ゴーン被告、逃走前に映画の相談―米紙」(時事ドットコムニュース:1月4日)

◆「ゴーン被告が本を出版へ 海外メディアで主張を展開も」(NHK NEWS WEB:1月9日)

 朝日新聞デジタルの「仏紙」とあるのは、高級紙のルモンドだ。しかし、ネットフリックス側はすぐに、「契約ない」と否定したが、信じる人は少ないようだ。

「ネットフリックスは世界中で人気ですし、オリジナルの映画とドラマシリーズも制作しています。実際に放送されるのは“氷山の一角”で、無数の企画書が書かれ、映画化権を取得し、大多数はボツになります。そういう意味でいえば、ゴーン被告の人生に関心を持たない担当者はいないと思います。ネットフリックスなら、日本とフランス、ブラジルと中東諸国、そしてアメリカでのヒットが見込めるので、権利を確保しようとしても全く不思議はありません。ただし、実際に制作して公開されるかは未知数です」

 TBS NEWSが1月13日に報じた「ゴーン被告、“逃亡劇”のハリウッド映画化に前向き」の記事と動画は、アメリカのCBSテレビがゴーン被告に行ったインタビューを紹介したものだ。

 これによるとゴーン被告は、今後の見通しについて、次のように語ったという。

《アメリカのハーバード法科大学院や投資家のイベントなど多くの講演依頼が来ているとした一方で、何か固定された役職に就くことは考えにくく、あったとしても投資分野になるだろうとの見通しを語りました》

 デーブ氏も「私はゴーン被告の今後を、母国のレバノンで半ば引退に近い状態になると思います」と予測する。

「ゴーン被告は1954年生まれで、今年の3月で66歳になります。ビル・ゲイツさんは55年生まれで、今は64歳。彼の引退が発表されたのは2008年でした。今やIT業界では30代のリタイアも珍しくなくなりました。手段は問題がありましたが、ゴーン被告は逃亡したことで故郷に帰り、妻と生活を共にすることができました。再起を期して経営の表舞台に戻るとは考えにくく、安穏とした日常生活を選ぶのではないでしょうか」

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