上皇ご夫妻を祝賀訪問した三権の長に疑問噴出…終わらない「二重権威」問題

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上皇后さまへも記帳を…

 宮内庁関係者が指摘する。

「天皇陛下と同じく、皇后陛下もまた、お誕生日には三権の長の祝賀をお受けになります。実際に昨年の12月9日、この慣わし通りに雅子皇后陛下は宮殿で祝賀を受けられました」

 その一方、御代替わりに伴って規模は縮小されたものの、

「上皇さまのお誕生日には引き続き三権の長が祝賀に伺い、また台風19号の被害に配慮してすべての祝賀が中止になりましたが、10月20日の上皇后さまのお誕生日には、吹上仙洞御所で三権の長の記帳を受け付ける予定になっていました。近年、生前退位の前例がないとはいえ、ここで明確な根拠を設けておかないと、先々も権威の二重性を指摘されることになります」

 さらに続けて、

「幹部をはじめ職員らも、そうした結果を招くおそれのあることは承知しています。それでも、祝意を表したいと参じる三権の長に真摯なお気持ちで応じられる上皇ご夫妻に対し、ご再考を促すような進言など、現実的には不可能でしょう」

 ジレンマに煩悶する職員の心中は察するに余りあるが、その責めをメディアに転嫁したところで解決には程遠い。皇室ジャーナリストの神田秀一氏が言う。

「年末の会見で長官が『(二重権威と捉える人は)周りでは誰もいません』と発言したのは、いかがなものかと思います。異なる考えを抱く国民も当然いるわけで、指摘に対しては“今後は十分配慮して目を向けていく”と答えるべきだったのではないでしょうか。三権の長が上皇さまの祝賀に伺ったことを“情”で片付けてしまったのも、そうした配慮がないのだと感じます」

 加えて、さる皇室ジャーナリストはこう話すのだ。

「高輪へのお引っ越しが遅れ、引き続き皇居に住まわれているのも、あらぬ懸念を生じさせてしまう一因でしょう。上皇后さまがご体調を崩された秋口にも、ご夫妻は琉球舞踊ご鑑賞やラグビー観戦などのお出ましをなさっていました。ですが、肝心の荷造り作業はめどが立たないままなのです」

 しばらくは、お祝い事と悩み事が併存することになりそうだ。

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

特集「『三権の長』が『上皇ご夫妻』詣で! 分かっていながら宮内庁『二重権威』のジレンマ」より

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