秋元司議員逮捕、議員5人に現金報道「カジノ疑獄」 特捜部が狙う「本丸」は菅官房長官

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苫小牧にもアプローチ

 ともあれ、ここへきて事件の登場人物が多くなって頭が混乱してきた、と感じている方は多いだろう。そんな方のために、ここで事件の全体像と特捜の狙いについて整理しておきたい。

「特捜部の捜査の今後の方向性については、次の四つのルートが想定されます」

 事情に詳しい法曹関係者はそう語る。

「まず一つめは、現在、マスコミ報道の中心になっている、秋元議員や白須賀議員に加え、名前が浮上した5人の議員のうち、岩屋前防衛相以外の4人のルート。だが、IR議連の幹部である岩屋前防衛相以外の4人は、必ずしもIR利権の本流ではなく、どちらかといえば、贈賄側の紺野に繋がる人脈に過ぎません」

 二つめは「大阪カジノルート」。「500」社が、ギャンブル依存症対策研究への助成や啓発を担うNPO法人「依存学推進協議会」とともにシンポジウムを開催していたことはすでに報じられている。「500」社は17年に行われたシンポジウムの経費の他、年間数十万円の研究協賛金も出していたという。

「『500』社からカネが流れていたこのNPO法人の主要メンバーは、大阪府・市のIR推進会議のメンバーと被っている」(同)

 三つめは特捜部が狙う「本丸」とも言えるルート。

「すでにIR議連幹部の岩屋前防衛相の名前は浮上していますが、カジノ利権の本丸といえば大阪、横浜、北海道の苫小牧などに関わりを持つ菅義偉官房長官。今回の事件で特捜部が菅長官の周辺にまでダメージを及ぼす可能性はある」

 今の段階では留寿都が取り沙汰されているものの、北海道IRの有力候補地と言われていたのは苫小牧である。特捜部が秋元議員の事件に着手する直前の昨年11月末、北海道の鈴木直道知事はIR誘致断念を表明して周囲を驚かせたが、

「この判断の裏には、地検の動きを察知した菅長官周辺で水面下の動きがあったと見られます。菅長官や鈴木知事にとって留寿都はあくまで枠外に過ぎず、本流は苫小牧とそこに連なるIR事業者などです。今回の事件で逮捕された紺野の人脈の一端は、苫小牧にもアプローチしていたことが分かっています」(同)

 一方、特捜部には「隠し玉」もある。それが四つめの「パチンコルート」だ。

(2)へつづく

週刊新潮 2020年1月16日号掲載

特集「『100万』『300万』では幕引きできない! 『カジノ疑獄』特捜部の『本丸』と『隠し玉』」より

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