韓国で未だ続く“Me Too”で著名人が次々失脚 今度は国民的歌手を元ホステスが告発

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海外からも注目される韓国の“MeToo ”のいま

 元TBS記者・山口敬之氏からのレイプ被害を訴える民事訴訟を起こしていた女性ジャーナリスト・伊藤詩織氏。2019年12月18日に東京地裁で勝訴を勝ち取ったニュースは、「日本を代表する“MeToo”訴訟」として世界各国のメディアに取り上げられた。

 韓国も、この訴訟に大きな注目を寄せた国の1つだ。韓国では日本と比較にならない勢いで性的被害の告発=“MeToo”旋風が吹き荒れており、国民の関心も非常に高い。同年12月4日には国際刑事裁判所(ICC)で諮問官を務めた米ミシガン大学ロースクール教授が、韓国紙のインタビューで「世界が韓国の“MeToo”運動に注目し、見習うべき」と述べた。同月25日にはまた米CNNが、学校での“MeToo”運動を主導していた22歳の韓国人女性を「今年アジアで変化を起こした若い活動家5人」の1人に選んでいる。

 そんな韓国でいま世間を騒がしているのが、国民的歌手キム・ゴンモを巡る性的暴行疑惑だ。人気スターの性的スキャンダルに加えて、風俗店女性による告発という点でも注目されている。

“MeToo”告発で表舞台から消えた各界の著名人たち

 韓国で“MeToo”が本格的に広まったのは、2018年。発端は、同年1月に44歳の女性検事が上司らのセクハラをテレビで告発したことだ。これと前後して、「似たような被害を受けた」との証言が各界に波及。ノーベル文学賞候補と期待された文壇の重鎮詩人コ・ウン、世界3大映画祭で受賞歴のある映画監督キム・ギドク、演劇界を代表する劇作家イ・ユンテク、スター俳優チョ・ジェヒョン、大統領候補とも目されたアン・ヒジョン前忠清北道知事らが相次いで告発を受けた。

 イ・ユンテクは2019年7月、強制わいせつの容疑で懲役7年の実刑が確定。チョ・ジェヒョンは2018年2月、訴えを全て認めて俳優を引退すると宣言した。アン前知事は2019年9月に最高裁で懲役3年6カ月、また女性検事に告発された元検事長は2019年7月の高裁で懲役2年の判決を言い渡されている。そのほか2018年3月にはベテラン俳優チョ・ミンギが数々の証言に追い込まれ、謝罪文を公表した後に自ら命を絶った。

 もちろん告発を不服として真っ向から対立する例も多い。コ・ウンは2018年7月、告発した女性詩人らを相手に10億7000万ウォン(約1600万円)の損害賠償請求訴訟を起こした。ただし1~2審とも敗訴し、2019年12月に上告を断念したことが伝えられている。キム・ギドクも告発した女性及びテレビ局を相手に10億ウォン(約9400万円)もの損害賠償を求めており、こちらはまだ係争中だ。

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