「藤原紀香」が語る「梨園の妻と女優」両立の秘訣

エンタメ 芸能 週刊新潮 2020年1月2・9日号掲載

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 夫になる男性をいくら愛していても、未知の世界に嫁ぐ女性には勇気が必要だ。それが伝統と格式を重んじる歌舞伎界なら尚更だろう。人気歌舞伎俳優、片岡愛之助(47)と2016年3月に結婚して梨園の妻となった藤原紀香(48)に話を聞いてみた。

「実は、仕事をやめなくてはいけない世界なのかな、と考えていました」

 こう語るのは紀香本人だ。

「結婚前、夫に“私は女優をやめるべきですか”と聞くと、驚いた顔をして“その必要はないよ。自分の世界を持つことは大切だし、仕事を続けている方もいらっしゃる。奥さんにやってほしいことは、ご贔屓筋に関すること。そこをしっかりしてくれれば大丈夫だし、これまで築き上げてきたキャリアと、ファンの皆さんを大切に考えてください。みんな応援してくれているのだから、絶対にやめるべきじゃない”と話してくれました」

 結婚当初、紀香が梨園の妻としてやっていけるかと懸念する声も少なくなかった。が、愛之助の公演初日と千穐楽に、紀香が劇場の番頭席やロビーで観客へ挨拶をしたり見送る姿を見て、日を重ねるごとに梨園関係者からの評価が高まっていると耳にすることも多い。

「歌舞伎の家に生まれたわけでもないので、いざこの世界に入ってみると知らない事ばかりでした。身内や先輩のお姉様方に教えていただいたり、お叱りを受ける事も。4年目になりますが、全てが勉強だと思っています。例えば、御祝儀などを賜った方への御礼状もその一つです。小学生から書道を習っていましたが、結婚後、毛筆や季節の心得などを学べる文化サロンに通い始めました。書き出しで季節について触れますが、恥ずかしながら、一年が七十二候の季節に分かれていることを、教えていただいて初めて知りました」

 愛之助の地方公演へ行く機会も多い。

「“妻としての仕事”の時はマネージャーがいませんから、自分で切符を買って全国どこへでも一人で移動します。着物姿で大きなスーツケースも日々、コロコロしていますよ。デビュー当時に企業のイメージガールをしていた頃も一人で大きなカバンを二つ、両肩に提げて全国行脚していたので、大変だとは思いません」

 一方、女優業も順調で、19年は2月に舞台「華の太夫道中」で初の太夫役を、また9月と10月に「サザエさん」でサザエ役を演じ大成功をおさめている。

「振り返ってみると充実した年だったと思います。どちらの舞台も楽しく演じられましたし、なによりお客様に喜んでいただけたと聞いているので嬉しいです」

 また、愛之助が東京五輪の聖火ランナーに選出されたのはご存じの通りだ。

「本人がネットで応募して選ばれたみたい。親善大使も務めている、故郷の大阪府堺市で走れることをとても喜んでいます」

 梨園の妻と女優業の両立で睡眠時間は2~3時間という日もあるようだが、結婚生活は幸せそのもの。今後、話題になりそうなのが芸の伝承だろう。

「お互いに年を重ねて結婚したので残された人生の後半は2人で歩んでいこうと言われたのです。松竹さんの勧めで、部屋子を迎えることになりました」

 部屋子とは、特別待遇の弟子のこと。愛之助は、18年3月に片岡愛三朗(16)を部屋子にしている。

「夫は部屋子から養子になり、様々な経験を経て今があるのです。TVなど様々なジャンルの仕事をしていますが、すべて歌舞伎に通じ、世代を超えて多くの方に身近に感じていただきたい、と常に話しています。今後も周りの方に教えを乞うて彼をサポートしていきたいと考えています」

 二足の草鞋を履く生活は、しばらく続きそうだ。

ワイド特集「窮鼠猫を噛む『女力』」より