「NHK」職員年収は1千万円、3千億円も貯めこむなら受信料を下げよ

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“まだわかんねえ”

「NHKをぶっ壊す!」。先の参院選挙でイロモノと見られていた「NHKから国民を守る党」が議席を獲得した衝撃は記憶に新しいが、こうした現状への不満が背景にあったのか。

 そもそも、NHKの受信料は特別な方式で決められている。放送ジャーナリストの小田桐誠氏によると、

「総括原価方式と言われます。まず1年間の事業運営にこれだけの経費が必要、という数字を出す。そして、それに見合うような受信料が算出されるのです」

 本来は収支均衡で運営されるのが大原則。余った分の金は、はじめから徴収する必要がないのである。

 例えば、毎年の営業キャッシュフローのうち、有価証券に換えてしまっている前出の600億円。この余り金を視聴者に還元するだけで、現時点でさえ、8%の値下げが出来るのだ。

「番組制作でもかなり潤沢な予算がついていました」

 と言うのは、元NHK職員で次世代メディア研究所の鈴木祐司所長。

 NHKの昨年度の番組制作費は約3500億円。これに対し、民放キー局5社の合計額が約4千億円だから、いかに膨大かわかろうというものだ。

「例えば、NHKスペシャルの『深海の超巨大イカ』。これは科学者やエンジニアを何十人も集め、最新鋭の潜水艇を100回近く潜らせて作っている。これだけで1本作るのに億単位の制作費がかかっています」(同)

 番組制作費は10年前より500億円以上も増加。当時の水準に戻すだけで受信料は7%もカットできる。

 さらに、

「人件費も気になります」

 とは、前出・小田桐氏。

 NHK職員の年収の平均額は昨年度で1098万円。他のキー局よりは劣るものの、公共放送の職員を「公務員」に近いもの、と考えればどうだろうか。国家公務員の平均年収は680万円程度。NHKにもさらなる削減を期待しても罰は当たるまい。

「これに加えて、諸々の手当てやOBの年金も充実しています」(同)

 大ナタを振るって給与を3割削減したとすれば、受信料は4%下げられる。

 これらの点にメスを入れれば、20%程度の受信料の値下げは決して不可能とは言えないのである。

「本体」の収入に加え、NHKは関連団体を25も抱える。本体近くのあちこちにオフィスを借り、今や渋谷区神南周辺はNHK村の状態だ。この売上高も1年で3千億円超えと、拡大・膨張を続けるNHK。が、それでもなお、あくなき商魂を見せているのは周知のとおりで、前出の経済誌記者によれば、

「近年、若年層はテレビを見ない、持たない人も増えている。このままでは受信料が先細りになるのは目に見えています。で、パソコンやスマホでもテレビを視聴できるようにし、支払い対象者をさらに増やしたい」

 それを実現すべく、今年は放送法の改正で、テレビとネットの常時同時配信を勝ち取った。もっとも、

「この11月、実施の段になって、高市総務相に“待った”をかけられた。それをやるなら、受信料の改革が先、と指摘されたのです」(同)

 そんな折、今月で任期が切れる現・上田良一会長に代わって白羽の矢が立ったのが前田晃伸氏。みずほ銀行の初代社長で、後に会長も務めた人物である。朝、自宅から散歩に出てきたところで声をかけると、

「まだ何もわかんねえんだよ……」

 と苦い顔をする。

――受信料の値下げというお考えは?

「それはいろいろ考えなきゃいけないけど、まだ何も知らない」

――制作費や人件費の削減は?

「そこまではホントにわかんねえんだ。これからだから。よろしく」

 当のNHKは、大要、

「有価証券は今後発生する支払いに充てるための資金であり、余剰資金ではありません。職員の給与は適切な水準を維持するよう努めていく考えです。番組制作費は必要かつ適正な支出規模と考えます」

 と回答するが、NHKを研究して50年、元日経新聞編集委員の松田浩氏は言う。

「今のNHKは公共放送としての本分を忘れてしまい、お金を稼ぐことだけに注力しているように見えます」

「みなさま」というよりすっかり「オレ様」化したかに見えるNHK。乗り込む新会長の手腕はいかに。

週刊新潮 2019年12月26日号掲載

特集「3千億円も貯めこむなら受信料を下げろ『みなさまのNHK』」より

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