松竹に「キムタク映画」めぐりトラブル 「約束反故に」脚本家が提訴

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30回以上の打ち合わせ

 ところが、

「彼は“ハリウッドで資金を調達する”などと言うばかりで、企画が現実味を帯びてこない。最初の提案から2年以上経過し、これでは話にならないと、16年末、松竹の社長に直談判しようとしました。すると別の松竹の役員が出てきて、“脚本を小説化し、映画化前提に3千万円の宣伝費をかけて売る”というプランが持ち上がった。しかし、小説を書きあげると松竹サイドは“そんな話は聞いていない”と、決裂したのです」

 昨年3月には、映画を作るよう東京地裁に調停を申し立てたが、松竹は“映画化を約束していない”と言うのみ。そこで裁判に至ったというわけだ。

「30回以上の打ち合わせを重ね、反故にされた。映画界は口約束で物事が進行することも多々ありますが、あまりに言葉が軽すぎます。それに我々フリーは企画が流れても仕事がなくなるのを恐れ、映画会社に対し声を上げることができません。裁判は、そこに一石を投じるためでもあります」

 さて、常務に取材を申し込むと、松竹の映画宣伝部が代わって、

「(常務が)武知氏の作品について映像化を検討しているかのような発言はしておりません。映画化に合意した事実は一切なく、一方的に映画化されると思い込み、訴訟を提起され、誠に遺憾であると考えております」

 とした上で、反論する。

「会食を含めた面談の回数は30回程度ありましたが、企画の話をしたのはその内のごく一部に過ぎません。打ち合わせの回数や年数にかかわらず、様々な要因で企画が実現しないのはよくあることです」

 松竹関係者はこう言う。

「当然、社内の会議を経なければ、映画化されることはありません。彼の脚本は会議に通っていませんでした。言った、言わない、の話で困惑しています」

 フーテンの寅さんだったら、「何か困っていることはございませんか」と声をかける場面だろうか。双方の行き違いが年をまたぐ難題となりそうだ。

週刊新潮 2019年12月26日号掲載

ワイド特集「この世界の片隅に」より

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