伊藤詩織さん暴露、安倍官邸の「山口敬之」ご指名派遣 またもベッタリ具合が露わに

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山口氏に400万円超の経費

 外務省関係者に聞くと、

「官邸としては、国際世論形成のため、リスクを犯して記事を発表してくれた山口氏に『借り』があったのでしょう。一方で安倍首相は、4月の訪米に際して笹川平和財団米国でスピーチし、これで笹川平和財団に『貸し』ができた。そこで、山口氏に『借り』のある官邸が『貸し』のある笹川さんにフェローの件を依頼した、というスキームだったと考えられるわけです」

 山口氏に対し、代理人弁護士と本人のメールを通じて取材を申し込んだが、回答はなかった。

 一方、笹川平和財団は以下のように回答した。

「笹川平和財団では、日米に関する情報発信の強化に向け、日米双方のオピニオンリーダー交流促進を行っています。山口氏はその事業の一環としてフェローに選ばれ派遣されました。笹川平和財団が山口氏のフェロー推薦を官邸から依頼を受けたことはありません。笹川平和財団は、山口氏をEast West Centerに紹介した時点、およびフェローを継続されている間も伊藤詩織氏に関わる事案を一切、承知しておりませんでした。笹川平和財団は、East West Centerに対しDesk Fee(フェロー受け入れの諸経費)として42,675米ドルを支払いましたが、山口氏個人に対する支払いは一切ありません。(山口氏の研究テーマは)“日本政府の対米外交戦略”“ベトナム戦争およびベトナム戦争直後の歴史”です。East West Centerより山口氏が不在であることが多いと連絡を受け、山口氏に確認したところ、自己都合によりよりフェローを辞退するとの連絡がありました」

 詩織さんによると、

「イースト・ウェスト・センターの職員に取材したところ、職員は“山口氏はセンターにまったく顔を出さなかったので、フェローの契約を1年足らずで打ち切った”と証言してくれました。また、“この10年間で笹川平和財団からフェローの推薦を受けたのは初めてだ”とも明かしてくれました」

 どこの世界でも“10年に1人”などと形容される人は際立った存在に他ならず、超がつく特別扱いであることは論を俟たない。

 また笹川平和財団は「山口氏個人には滞在費用を支払っていない」と言うが、42,675米ドル、日本円で約466万円に及ぶ多額の経費を山口氏のために捻出したことは認めている。

 しかし、詩織さんの取材で明らかになったように、山口氏は「センターにまったく顔を出さなかった」のだ。なぜ笹川平和財団は、そんな山口氏を特例的にセンターに推薦してしまったのか。

「財団と官邸とのやりとりは、笹川陽平さん自らが担当していました。その山口さんのケースも、直接、笹川会長が官邸とやりとりした可能性が高い」(前出・財団関係者)

 官邸の番犬として権勢をふるい続ける警視庁刑事部長(当時)によって握り潰された逮捕状と同じく、安倍官邸の影が見え隠れするのである。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月27日掲載

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