伊藤詩織さん暴露、安倍官邸の「山口敬之」ご指名派遣 またもベッタリ具合が露わに

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 2019年12月19日、勝訴判決を受け、外国特派員協会で行なわれた記者会見で、伊藤詩織さん(30)は、次のような新事実を明らかにした。

〈安部首相は2015年4月、笹川平和財団のために米国で講演を行ないました。その見返りに、“山口敬之氏を米国のイースト・ウェスト・センターに派遣してほしい”という要請が官邸より笹川平和財団にありました〉

 いささか旧聞に属するが、話は2015年10月にさかのぼる。“人類みな兄弟”を標榜した笹川良一(1899~1995)の三男・笹川陽平(80)が名誉会長として率いる『笹川平和財団』。財団の関係者によると――

「当時、日米交流事業を担当していたある職員が、上司から、こう言い渡されたそうです。“この人物のビザの取得について手伝ってほしい。上で話はついている”と」

「この人物」こそ、山口敬之元TBSワシントン支局長(53)なのだ。

 時系列的に振り返っておくと、準強姦逮捕状が出される事件が発生したのは2015年4月。その直前の3月、山口記者は支局長として暖めていた企画「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた」について、その報道をTBS上層部から却下された。そのため、これを週刊文春に持ち込んで記事化していた。そして、その件について、週刊新潮では過去に検証記事を掲載している(リンクを参照)。ごく簡単に言うと、以下の通りだ。

(1)山口氏は自分で公文書を見つけたと言っているが、実際はそうではない。
(2)公文書は慰安所の存在を全く断定していない。
(3)証言者の発言を捏造、歪曲、無視している。
(4)そのような虚報を用い、駐米公使と謀って外交に利用しようとし、失敗した。

 山口氏はこの寄稿により、TBSから「ワシントン支局長として出社に及ばず」の命令を受けていた。帰国した折に、準強姦逮捕状が出されるという“悲劇”が起こったのだった。

 笹川平和財団が手伝ったのはビザの取得だけではなかった。条件はこんな具合だ。

〈山口氏のために、アメリカのシンクタンク「イースト・ウェスト・センター」のフェローの職が2年間用意され、そこで山口氏は、安倍首相の外交アプローチやベトナム戦争について研究する。ついては、笹川平和財団が山口氏分の1000万円の研究者費・生活費を負担する〉

 安倍晋三首相(65)とベッタリゆえに、外交アプローチを研究するのは理解できる。他方、すんなりと頷きにくいのは、そのためのビザ取得や費用を笹川平和財団が負担するという点だ。

 もちろん笹川陽平氏は、安倍首相と浅からぬ間柄だ。

 とはいえ、先に触れた職員も我々と同じような疑問を抱いていた。だから、山口氏が渡米するにあたり、必要なビザの手続きに関連した書類などを作成した後、「なぜ“この人物”こと山口氏を、センターのフェローに推薦することになったのか?」と上司に確認したのだった。

 その際に上司は、こう答えたという。

「2015年4月にSPFUSA(国笹川平和財団米国)で、首相がスピーチしてくれた。その見返りで、官邸から(山口氏の職の斡旋を)依頼された」――。

 事実、安倍首相は2015年4月に訪米している。当時、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領による「日本の慰安婦問題」への追及は激しさを増しており、それに抗するためには、日本のブレない姿勢をアピールすることが大事だったのだ。

 しかし、その時、山口氏は背伸びして事柄を創作してしまった。TBS局内で報道できる代物ではないと退けられても、山口氏はあきらめず本当に記事にしてしまう。

 そして先に触れたように、山口氏は駐米公使とも謀って、米政府高官の会見で“山口レポート”について自ら質問している。記者会見の場を借りて、「韓国軍にベトナム人慰安婦がいた」というストーリーを国際的に既成事実化しようとしたのである。問題があるのは日本だけではない、というわけだ。もっとも、質問を受けた高官の反応は寂しいものだったが……。

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