広島、4連覇どころかBクラス転落…2019年の“悪夢”を振り返る!

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

4連覇を信じていたファンも…

 交流戦開始後、西武、ソフトバンク、日本ハム、ロッテに相次いで負け越し、オリックスにも2連敗中の広島は、雪辱を期して6月23日の3回戦(マツダスタジアム)に挑んだ。

 先発・ジョンソンが7回を無失点に抑え、レグナルト、フランスアの継投で9回までゼロに抑えたが、カープ打線も9回までわずか3安打でゼロ行進。そして、0対0の延長10回表に悲劇が起きる。4番手・菊池保則が長打6本を浴びて5点を失うなど、一挙9失点。その裏、田中広輔、鈴木誠也のタイムリーで3点を返したが、焼け石に水。4月10日のヤクルト戦に続き、再び“魔の10回”に泣いた。鉄壁のリリーフ陣を誇った前年までなら、終盤の大量失点はあり得なかったし、打線の援護で延長戦にもつれ込む前に勝ち切っていたはず。ここでも新井、丸の不在が影を落としていた。

 そして、3位キープでほぼ当確と思われたCS進出も、シーズン終盤に奇跡の6連勝を演じた阪神に逆転を許し、シーズン後、緒方監督は「期待に応えることができなかった」とチームを去る。4連覇を信じていたファンにとっても、予想だにしない結末だった。

 バトンを託された佐々岡真司新監督は2020年、「たった今 このAKAの子 舞いたった」をスローガンにV奪回を目指すが、勝ちパターンを確立できなかった投手陣の再整備に加え、守りの要・菊池涼がポスティングでのメジャー移籍を目指すなど、前途は険しい。そんななかにあって、野村祐輔と會澤翼のFA不行使残留とドラフト1位の155キロ右腕・森下暢仁の加入は明るい材料だ。「2桁勝利と新人王が目標」という森下は、はたして救世主になれるか?

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2019」上・下巻(野球文明叢書)

週刊新潮WEB取材班編集

2019年12月27日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。