大塚家具が禁断の“年越しセール”を開始、資金が枯渇する来年3月をどう乗り切る?

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セールと反動の繰り返し

 昨年10月といえば、《大塚家具、全店売上高15カ月ぶりプラス セールが押し上げ》(日本経済新聞・電子版:11月1日付)などと、久しぶりに明るいニュースが報じられた時期である。

「そのため、今年10月の言い訳が《前年は9月末から11月末に開催した在庫一掃セールにより11月の水準が最も高かった》から、前年比だと低くなったというわけです。しかし、昨年が高かったからと言っても、その売上高は72億円の大赤字を出した一昨年より7%上回っただけでした。8割引の在庫一掃セールまでやって7%しか売上が上がらず、最終的には32億円の赤字となった。今年の5割引セールは一体どうなってしまうのか、業績予想では黒字化を宣言したままなのですから」(同・事情通)

 だが11月は、売上高は落ちたものの《来館件数等は消費増税後、緩やかながらも改善》している、とある。ちょっと明るい兆しではないのだろうか。

「お客が増えているのに、売上が落ちているわけですから、発表に値しない、何の意味もない言葉です。言い訳にすらなっていません。12月のセールのも、来年1月の月次報告で、《前月のセールの反動で落ちた》と言い訳するために行っているのではないかと疑いたくなります。セール後の落ち込みは容易に想像がつきますからね。すでに黒字化を諦めているのでしょう」(同・事情通)

 とはいえ、いまだ黒字化の業績予測は修正されていない。

「久美子社長が全権を握った2015年以来、売上は下がり続け、16年からは赤字続きとなっています。黒字化を予測した今年、いまのところ昨年の売上を上回ったのは9月のみ。毎月、手元資金が減っていくばかりという状況は変わりません。なぜ下方修正をしないのでしょうか。せめて、いったん取り下げて、今年はじめのように“未定”とすべきでしょう」(同・事情通)

 もしや、何か秘策があるのでは?

「今年2月に38億円の資金調達をするとぶち上げた。しかし、金主である中国の輸入ネット販売のハイラインズに、中国当局の許可が降りなかったという、眉唾ものの言い訳をされ、結局26億円しか集まりませんでした。新たなスポンサーを見つけるしかないとは思いますが、なかなか見つからないと思いますね。例えば、ZOZOの大株主であった前澤友作氏とソフトバンクの孫正義氏が手を握ったようにはいかないでしょう。大塚家具は株主が分散化されているために、まとめるのも難しい状況です」(同・事情通)

 店舗売上よりも、これからはEC事業重視、とも言っていたが、

「頼みの綱だったわけですが、月次報告で見ると、よくて前年比110%程度で、多くは前年比割れという状況です。YouTubeには『大塚家具 公式チャンネル』を作ったりしていますが、どれだけ効果があるか……」(同・事情通)

 インテリア本音バラエティ「ハピなびStyle」という動画は、毎週更新されている。現在は梅宮アンナをゲストに招いて、彼女の“こだわり”を聞くというもの。最新回の視聴回数は355回(12月9日現在)だ。

「大塚家具には1000人ほどの社員がいる。彼らもろくに見ていないということでしょう。もっとも社員だって、それどころではないかもしれません。取引先も代金支払いなど心配していることでしょう」(同・事情通)

 すでに、来年3月の決算期がヤマという報道も出始めている。

「今年9月の第3四半期時点でのキャッシュはおよそ21億円で、毎月4~5億円の現金が失われている状況は変わっていません。来年3月には、手持ちの資金はゼロになっているはずです。そうなったら、もう手の打ちようはありません。もっと前、年明け早々にも何らかの対策を講じなければならないはずですが……」(同・事情通)

 その直前に開催されているのが「令和最初の年越しカウントダウンSALE」というわけだ。たしかに、別の意味でのカウントダウンが始まったのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月11日掲載

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