海老蔵が進める「歌舞伎界の働き方改革」に松竹社長が困惑

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稽古や舞台の準備

 いずれにしても、昨今の働き方改革の波は、梨園にも及んでいるのだろうか。ズバリ、松竹の迫本淳一社長に尋ねてみた。

「たしかに海老蔵さんはそうおっしゃっていますが、3日が初日となったのはその声を全面的に受け止めた結果ではありません。お客さまが第一ですから、演目が新作や久しぶりの作品の場合には稽古や舞台の準備に時間をかけなければいけない。日程は、そういう判断で決まっているのです」

 日程変更が改革との発想は少しピントがズレているようだ。迫本社長が続ける。

「松竹社員と役者さんは、雇用関係と契約関係とで根本的に違います。社員は勤務時間が超過しないようにはしています。一方、契約して舞台に立っていただく役者さんの出番の数は、公演ごとに話し合って決めているわけです」

 役者にとっての“勤務時間”は、体力的に厳しければ昼夜公演どちらかの出演にしたりダブルキャストにして負担を分散するという。

「私自身はむしろ、もっと働かせてほしいという役者さんが多いように感じていますけどね。ここからは一般論ですが、役者さんが松竹関係の仕事をするのは1年のうち約8カ月。残り4カ月で好きなことをする形です。人気の高い方になると、松竹の仕事は年に4カ月から5カ月ほどで、それ以外が個人の仕事。そちらをセーブすればいくらか休めると思うんです」

 働き方改革を推進する海老蔵が、反対に、働き方改革をうながされた格好か。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

ワイド特集「魔の最終コーナー」より

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