藤井聡太初タイトル戦ならず、天才棋士に足りないものとは何か

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 デビュー以降、数多の最年少記録を樹立してきた藤井聡太七段(17)がタイトル挑戦最年少記録の達成を逃した。天才棋士に足りないものとは何か。

 11月19日に行われた大阪王将杯王将戦の挑戦者決定リーグ戦で、藤井クンの対局相手は広瀬章人竜王だった。勝てば1989年に屋敷伸之九段が達成した17歳10カ月の記録を塗り替える偉業。対局前からワイドショーでも取り上げられていたほどだが、結果は126手で激戦を制したのは広瀬竜王だった。

 ある現役棋士の解説では、

「対局はシーソーゲーム。終盤、藤井七段の勝利が見えたが、予想外に頓死したのでびっくり。終盤の強さには定評があるので、本人もこの敗戦はショックなはずです」

 頓死とは、最善手を指していれば自分が詰むことはない優勢のなか、読み間違えて負けてしまうこと。つまり、藤井クンのうっかりミスだったわけだ。

 観戦記者は苦言を呈する。

「勝敗を分けたのは精神力の差でしょう。ポーカーフェイスに見えて、藤井七段は精神的にもろい面がある。対局後、コメントを取るために連絡しても、負けると折り返しも返信もなかったりします。彼は10代なので仕方がないとはいえ、あの羽生善治さんでも10代の頃はそんな対応はしなかった。連盟もいささか気を使いすぎで、過保護とも思える扱いが精神面の成長を妨げているきらいは否定できないと思います」

 一方、日本将棋連盟の元専務理事で、棋聖のタイトル獲得の実績がある田中寅彦九段は別の課題を指摘した。

「彼は近いうちにタイトル戦に出場し、獲得するはずです。今、彼に足りないのは将棋を勉強する時間でしょう。若い時に勉強すれば強くなるので、彼の高校進学には反対していたのですがね。今回の凡ミスは良い経験になったと思います」

 十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人。藤井クンに限っていえばそんな心配はないはずだが。

週刊新潮 2019年12月5日号掲載

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